シニア活躍、過疎地ライドシェアで暮らし守る

関東・山梨の交通空白地有償運送は、人口が集中する東京や神奈川などは少ないが、山梨や群馬などの山間部の活用が多い。各自治体や地域のNPO法人が知恵を出して地域住民の足の確保に奔走する。観光客の移動手段としても一役買っている。
山梨県では8市町村で「過疎地のライドシェア」を実施している。人口500人余りの丹波山村ではNPO法人「小さな村総合研究所」が2017年から村民タクシー(ソンタク)を運営。シニアを中心に50人余がドライバー登録し、対応可能時にマイカーを使って村民だけでなく登山などの来村者の移動を支援している。
(日本経済新聞 3月23日)

タクシーが営業できないような過疎地でのライドシェアは、今後、全国で広がるだろう。高齢化が進む中、移動手段の確保に苦慮している高齢の住民は多い。バスやタクシーなどの公共交通機関がない地域では、住民による扶助が頼りだ。無償の扶助では供給に限界があるなら、有償化してサービスの供給を増やすのは合理的といえる。

そもそも、タクシー業界への規制を緩和して参入障壁を下げ、競争を促すのが経済政策としては王道だが、実際には、関連業界の既得権益との兼ね合いで政治的には実現が難しい。タクシーの営業区域外の過疎地限定で、ライドシェアを運営する方が現実的だ。高齢者にパートタイムの運転手として活躍してもらうことで、地域の高齢者に雇用と社会参画の機会を提供するとともに、車を持たない高齢者の利便性を向上させることができる。ライドシェアに限らず、高齢化の進んだ過疎地では、高齢者同士が相互に扶助する仕組み作りが重要だ。