孫育て休暇、地方公務員に広がる
孫を持つ職員向けに「孫休暇」を導入する動きが自治体で広がっている。誕生時のサポートや孫の育児、看病を理由に多くの場合は有給で取得できる。2023年度に始まった公務員の定年延長で孫を持つシニア世代が増えるのを見据え、育児に協力しやすい環境を整える。
神奈川県は4月に孫を持つ職員向けの休暇制度を導入する。子どもを持つ男性職員が妻の出産時と出生後の育児のためにとれる特別休暇の制度を一部変更し、対象を孫を持つ職員に広げる。期間はそれぞれ最大3日間と5日間とする。
(日本経済新聞 3月16日)
沖縄県の出生率が高い理由のひとつに、大家族制が比較的維持されていることがある。沖縄では三世代同居の比率が他の地域に比べて今なお高い。子どもが多くても、親は、子ども達の世話を祖父母に頼めるため、働きながら子育てをすることができる。
出生率を向上させるには、親世代の所得を上げることよりも、乳幼児の育児を家族や社会で分担できる環境を整えることの方が効果的だ。戦後のベビーブームの時代、親の所得は今よりも遙かに少なかったが、大家族の支援があったため、子どもの数が多くても育てられた。
高校生の子どもがいる世帯は親の年齢が既に高く、高校の授業料を無償にしたり、児童手当を支給したりしても、新たに子どもを産もうとする親は少ない。しかし、乳幼児がいる若い世帯に対して、育児の時間的な負担の軽減を提供すれば、もう一人子どもを産もうと思う親も一定数でてくる。シニア世代の孫育て休暇は、シニアの働き方の柔軟性を拡大とするとともに、少子化対策としての効果ももたらすだろう。