JTB、初任給引き上げ、シニア社員には賞与
JTBは今年4月に入社する新入社員の初任給を一律で3万2000円引き上げる賃金制度の見直しを行う。大卒以上の総合職が対象。現行では、21万円に地域に応じ手当を加味して支給している。首都圏1都3県の場合、23万円から26万2000円に上昇する。
(中略)
60歳以上の社員には、年2回の賞与を支給し、年収を現行より約24%引き上げる。65歳までの高年齢者雇用確保措置の継続雇用制度に基づき再雇用した60歳以上のシニア社員は約4%を占めるが、28年度には約13%に高まる見通し。高度な専門性を持つ社員の流出を防ぎ、モチベーションを維持する。
(TRAVEL JOURNAL ONLINE 1月22日)
年功序列の影響が残る大企業の賃金体系の下で比較的低く抑えられてきた初任給とシニアの待遇を改善しようという動きが広まっている。シニアの待遇改善には、定年延長や基本給の増額など、様々な方法が取られているが、JTBは賞与の支給という手段を選択した。
賞与は、給与よりも、会社の業績や個人の成果によって左右されやすい。したがって、賞与を支給するということは、年度による差や個人差が生まれるということでもある。年齢で一律であったこれまでの給与体系に比べると、シニア社員のモチベーション向上の効果は高い。加えて、旅行業界における人材獲得競争は、新卒だけでなくシニア層にも及んでいること考えれば、人材確保の観点でも有効な施策と言える。主要な宿泊施設や大口の法人顧客との広範な関係を持っている社員は、旅行代理店にとっては重要な人的資産だ。60歳を過ぎてもその価値が衰えることはない。