「小さな仕事」で無理なく、65歳以上 4人に1人が就業
人生100年時代を迎え、定年後も仕事を続けるシニアが増えている。総務省によると、昨年の65歳以上の就業者は過去最多の912万人で、高齢者の4人に1人が働く。シニア人材を積極採用する企業では、業務を細分化したり、個々の体力などに応じて多様な働き方を用意したりして戦力にしている。
(中略)
店舗によって調理や清掃などの業務を細分化し、それぞれの体力や得意分野に応じて振り分けている。例えばホール業務では、席への案内や注文方法の説明といった仕事を小分けしてシニアを配置。スピードや体力が必要な料理提供や食器の片付けなどは、主に若いスタッフが担う。
(東京新聞 11月17日)
健康状態や能力が異なる多様な人々に働いてもらうには、業務の細分化は欠かせない。業務のタスクを小さく分けることによって、働く人の適性を活かしたタスクを割り当て、それ以外のタスクはそれが得意な他の人に割り当てることが容易になる。高齢者や障害者、あるいは、育児や介護で労働時間に制約のある人の労働参加を推進する上では、重要な施策だ。
ただ、業務を細分化するには、業務の規模がそれなりのマンパワーを必要とする大きさでなくてはならない。ホール業務を担当するウェイターやウェイトレスが一人か二人の飲食店ではホール業務の分業は難しい。一方、規模の大きな高級レストランでは、今でも、店の入口に案内係が立っており、料理提供や食器の片付けのスタッフとは分業している。
このことは、飲食店以外の業界でも同様だ。業務を細分化するには、まず、業務を遂行する組織の規模を一定程度大きくする必要がある。つまり、組織の統合と業務の細分化を同時に行うことが重要になる。