在宅高齢者に食事を届けるロボット試験

クイーンズタウンの高齢者が多い賃貸アパート群では、コピー機に似たロボットが賃貸アパートに住む体の弱い高齢者が自立して生活できるようにするためにプログラムのもと、食事を届けるサービスを行っている。
 エイデン(正式名称はAutonomous Intelligence for Delivery and Engagement)は、小型のリフトに乗り、狭い廊下を自力で移動する。まるで人間のように小さなアームでエレベーターのボタンを押し、階を選択することができる。エイデンのトライアルは10月13日から、BLK151メイリンストリートで開始され、2024年2月まで実施される予定という。この自律移動型ロボットは、67歳~82歳の高齢者に毎日2食の食事を提供し、必要に応じて洗濯や投薬などの他の品目も提供する。
(AsiaX 10月23日)

これはシンガポールでの話だ。シンガポールの国民一人当たりのGDPは日本よりも高い。2022年の国民一人当たりのGDPは、USドルで、日本の33,853.80に対して、シンガポールは82,807.65だ。今や米国よりも高い。金融やIT産業の集積が進む一方、生産性の低い産業を淘汰してきたため、日本よりも国全体の労働生産性が高く、賃金も上昇を続けている。

賃金が高ければ、省力化投資も盛んになる。省力化が進めば、生産性が高くなり、賃金もまた上昇するという好循環が続く。高齢者向け宅配ロボットもそうした経済環境の中で生まれた試みだ。日本でも工場や倉庫の敷地内での配送ロボットは実用化されているが、公道を使った配送ロボットはまだ使われていない。日本企業もロボットを使ったサービスはシンガポールのような人件費の高い国や地域で事業化を考え、その後、日本を含む世界市場への展開を図るべきだ。そうすることが、結局、日本の高齢化対策への迅速な寄与に繋がることになる。