年金だけでは…「家計ゆとりない」女性に多く

 シニア世代の生活実態をジェンダー(社会的性差)の視点から探る下野新聞社アンケート最終回のテーマは年金。女性の方が男性より「家計にゆとりがない」「家計はかなり苦しい」とする回答が多く、高齢女性の経済的な逼迫が浮き彫りとなった。専門家は女性の就労環境改善による男女の賃金格差是正の必要性を訴えている。
(下野新聞 10月23日)

個人差はあるが、統計的には、女性の方が男性より老後の家計が厳しくなる確率は高い。専業主婦の女性には厚生年金がないし、就労していた女性でも男性に比べて収入が低ければ厚生年金の受給額も低くなる。夫の遺族年金を受給している女性もいるが、半額ほどに減額され、夫が健在であったときより生活は厳しい。加えて、女性の寿命の方が長いことから、年金の不足を補完する老後資産も多く必要となる。

高齢女性の経済問題を解決するには、この記事が指摘するように、男女の賃金格差の是正は役に立つ。ただ、賃金格差がなくなっても、その効果が年金受給額に十分に反映されるのは、今の若い世代が高齢者となったときだ。既に高齢になっている女性には間に合わない。また、女性の方が長生きするという事実は、将来も変わることはなさそうだ。そうであれば、即効性のある対策としては、高齢女性の雇用機会を増やすことが有効だ。女性の方がその健康寿命が長いのなら、男性より長く働き、その分、年金の不足を補うことができる。