ホンダ、早期退職優遇プログラム廃止 世代交代の進展で

ホンダは、2021年4月に導入し、中高年やシニアの正社員に早期退職時に割増退職金を支払うプログラムを廃止した。世代交代の促進を目的として始めたが、一定の成果が出たと判断した。キャリア研修などを通して退職者を支援する制度はこれまで通り残す。
21年4月に導入したのは「ライフシフト・プログラム(LSP)」で、9月上旬、社員に廃止を通達した。24年度以降の募集はしない。21年度は55歳以上64歳未満、22〜23年度は55歳以上59歳未満の日本の正社員を対象に、退社する場合に退職金に上乗せする「退職加算金」を支給。希望者には再就職の支援も実施していた。
(日本経済新聞 9月14日)

電気自動車や自動運転など新たな技術革新に対応するには、人件費を古い技術に精通したシニアから新しい技術を開発できる若手にシフトすることが合理的だ。シニアを再教育して新たな技術に対応できるようにすることも不可能ではないが、時間がかかるし、シニア世代が相対的に多い場合には、世代間のリバランスが必要になる。バブル期に新卒を多量採用したホンダが割増退職金を支払う早期退職を募集してきたのには、企業として一定の合理性があった。

ただ、世代間の社員数のバランスがとれてきたのであれば、割増退職金を支払ってまで早期退職を募集する意味はそれほどない。むしろ、容易に転職できる優秀な人材から先に退職するというデメリットの方が顕在化するようになる。ホンダ同様、団塊ジュニア世代の社員が多い企業は、その世代の退職が進むのに伴い、しだいに割増退職金を伴う早期退職を縮小することになるだろう。