職場存続、切り札はシニア 「70歳雇う」企業4割
労働市場でシニア人材の重みが一段と増している。70歳以上でも働ける企業の比率は2022年に4割となり、この10年で2倍になった。建設や小売りでは従業員の1割超が65歳以上だ。人手不足の解消に向けてシニアの活用が欠かせない一方、労働災害は急増している。円安で外国人労働者の確保も難しくなるなか、職場環境の整備が急務だ。
(日本経済新聞 8月5日)
ノジマが雇用の年齢制限をなくしたことで話題になったが、中小企業を含めれば、働ける間は何歳になっても雇用する企業は多い。人手不足の中でスキルのある労働力を確保しようとすれば、年齢を問わずに雇用を続けることには一定の合理性がある。
人手不足の解消策としては、女性や高齢者、あるいは外国人の労働市場への参加が期待されてきた。しかし、主婦の非正規雇用については、賃金の上昇に伴い税金や社会保険料が高くなって手取りが減る、いわゆる年収の壁によって、労働時間が短縮する傾向にある。また、外国人は、新型コロナウイルスの影響で減り、さらに、円安によって日本の賃金が外国に比べて低くなったことで集めることが難しい。そうなると、期待できるのは高齢者だ。
ただ、最低賃金が上昇する中、高齢者の労働力を利益につなげるには、高齢者が担当する業務において、高くなっていく賃金に見合うだけの付加価値を生み出す仕組みが必要になる。低賃金だからという理由だけで高齢者を雇用する時代は過去のものになろうとしている。