高齢社員にジョブ型雇用 三菱UFJ信託、年収100万円増
三菱UFJ信託銀行は60歳以上の再雇用社員を対象に、職務内容を明確に定める「ジョブ型雇用」を導入した。市場部門などでの指導役や対外的に講師を担ったり、現場の営業に精通していたりする人材への適用を想定する。業務内容によって異なるが、年収は100万円ほど上昇する。再雇用社員の活躍の幅を広げる狙いがある。
「シニアジョブコース」という名称でまず70人程度を対象に試験的に導入した。半年ごとに人数を増やして25年に正式導入し、26年までに200人規模に拡大する。最終的に再雇用社員の半分にまで認定をひろげる考えだ。
(日本経済新聞 8月3日)
60歳以上の再雇用社員の待遇改善が続いている。定年延長など、一律に60歳以上の社員の制度を変える企業もあるが、既存の再雇用制度を残したまま、待遇の多様化を進める企業もある。三菱UFJ信託銀行は、再雇用社員の一部にジョブ型雇用を導入し、今までの再雇用社員よりも給与水準を向上させた。ただ、ジョブ型雇用でも、再雇用社員は正社員よりも給与水準が低いことには変わりはない。ジョブ型雇用の再雇用社員は、今までの再雇用社員と正社員の中間に位置する存在だ。
このような制度の場合、ジョブ型雇用の再雇用社員とそうでない再雇用社員との待遇の差は、ジョブ型雇用の職務定義を根拠としている。職務定義を満たすことがより高い給与を得る条件だ。一方で、同じ職務定義を満たしている正社員と再雇用社員との待遇の差については、根拠があいまいになる。将来、正社員が全面的にジョブ型雇用に移行すれば、恐らく、正社員と再雇用社員との待遇の差はなくなり、最終的には、再雇用制度そのものがなくなる可能性がある。