長野、働く高齢者の割合全国3位 「シニア大学」で学びの場も

北信越でも65歳以上で仕事を持つ人の割合が上昇している。2022年までの10年間の伸び率は福井県が6.9ポイントと大きく上がったほか、石川県も5.1ポイントの高い伸びを見せた。生産年齢人口が減るなか、自治体による高齢者の就業支援策や人手を確保したい企業の積極的な雇用が数値を押し上げているようだ。
(中略)
長野県では「シニア大学」も高齢者の就労に寄与してきた。高齢者に学びの場を提供するため県が1978年に開設し、現在は社会的起業のノウハウなどを学べる専門コースと、趣味を身につけたり地域の歴史や課題を学んだりする一般コースがある。
(日本経済新聞 7月29日)

北信越は、働く高齢者の割合が比較的高い。長野県は全国3位、福井県は首位だ。元々、高齢化が進んでいる地域ではあるが、それだけに、自治体が様々なサービスを提供して高齢者の雇用機会の拡大に努めていることが奏功している面もある。

なかでも、シニア大学は教育県を標榜する長野県らしい取り組みだ。大学というネーミングは、高齢者の向上心と就労意欲を増進させるのに、ポジティブに働いている。また、就業に直結する科目だけでなく、一般教養を培う科目も用意していることが、入り口のハードルを下げるのに役立っている。シニア大学が媒介となって、共通の関心事を持つ人々がつながり、新たな地域コミュニティーの形成を続けてきた。今後も、現役時代の仕事の関係とは異なる世界で新たな人間関係を築くことで、高齢者の社会参画の可能性は広がり、さらには、高齢者の新たなコミュニティーが需要を生んで、雇用の創造にもつながっていくだろう。