中高年、転職・起業へリスキリング

終身雇用にとらわれず転職・起業を前向きに考える正社員が増えている。近年は40〜50代の中高年がリスキリング(学び直し)に取り組みながら、大きなステップに踏み出しているのが特徴だ。
(中略)
例えば転職を目指すなら、最近ではIT(情報技術)関連の引き合いが強い。実務経験があれば、企業内でITを活用した事業戦略を立てる「ITストラテジスト」といった難関資格がある。ビジネスの資格で知名度が高い英語能力テスト「TOEIC」では、転職時に800点以上で一定の英語レベルとして評価する企業が多いようだ。
(日本経済新聞 5月28日)

企業内教育でも中高年に対するリスキリングが広がっているが、企業の外に出るためにもリスキリングは重要だ。政府も在職者の転職を前提とした支援体制の構築を目的としてリスキリングへの補助を強化しようとしている。ただ、政府の補助は、職業教育全般に幅広く補助金をばらまいており、補助金が得られる教育をむやみに受講しても、転職や起業に直ちに役立つわけではない。政府の補助金は、どちらかというと、リストラを進めたい企業と教育サービスを提供している業者の売上向上の役に立っている。

転職や起業を目的として自らをリスキリングしようと思うなら、まず、どのような仕事をしたいのかを明確にして、その目標を達成する上で、重要な成功要因となるようなスキルの習得に専念すべきだ。この記事が指摘するように、たとえば、IT分野で仕事をしようとするなら、ITストラテジストの資格やTOEICのスコアは実務に活かせる能力を客観的に評価してくれる尺度として意味がある。ただ、市場価値のある資格は、難関なだけに、短期間のリスキリングで合格するのは難しい。長期的な人生と学習の計画が必要だ。