金融「辞めても仲間」広がる、三菱UFJ銀が交流サイト

金融機関で退職者とのつながりを重視する動きが広がっている。三菱UFJ銀行は10日、「アルムナイ(卒業生)」ネットワークと呼ぶ退職者の交流サイトを開設する。退職者を再び採用するカムバック人材の活用も進む。業種を超えて優秀な人材の獲得競争が激しくなるなか、「裏切り者」というかつての意識は変わりつつある。
 三菱UFJ銀行が立ち上げるのは、いちど同行を退職した人とのつながりを保つための交流サイトだ。退職者なら関連会社への出向者らを除いて参加でき、定期的な交流会の開催などを予定する。アルムナイ向けに採用情報を発信するほか、現役行員との協業や関係構築といった効果を期待する。
(日本経済新聞 5月10日)

中途採用では職務を具体的に定めるジョブ型雇用が増えている。一般に、仕事内容とそれに必要な能力が明確ならば、その職務に適性のある人材の集合もまた明らかだ。人々は、企業に属するとともに、そのジョブに適性のある人の集団にも属する。終身雇用では、一つの企業に属しながら、必要とされるジョブの変化に伴って適性も変化させてきた。

しかし、ジョブ型雇用の時代には、適性のあるジョブを変化させず、属する企業の方を替える人が増える。これは、プロスポーツの選手と同じだ。野球でもサッカーでも、選手は自分が選択したポジションの専門家としての能力を磨き、その能力を活かせる場所を求めて転々と所属チームを替える。過去に所属していたチームに戻ることも日常茶飯事だ。選手もチームも再び雇用契約をすることに抵抗はない。そのため、チームは、辞めた選手も含めて、選手達とのコミュニケーションを重視する。銀行を始め、一般企業の採用も、同じ世界に入ってきたようだ。