シニア世代の就業、「生涯現役のまちづくり」目指して支援
人手不足が深刻化する中、シニアの力を生かす取り組みが各地で進んでいる。高齢者が社会とつながりを保つことで、生きがいが得られ、健康づくりにもなる効果が期待できるという。元気なシニアを増やし、地元の活性化につなげたい。
(中略)
秋田県北西部にある藤里町の社会福祉協議会の建物の一室で、特産のまいたけを使った「白神まいたけキッシュ」が作られていた。作業をしていた白衣姿の男女5人は、社協が実施する「プラチナバンク」の登録者だ。2017年から始まったプラチナバンクは、働きたい人に登録してもらい、社協が仕事をマッチングする仕組みとなっている。仕事は農作業や除雪作業、バスの運転など様々で、町役場の宿直といったものもある。
(ヨミドクター 4月19日)
ハローワークやシルバー人材センターだけでなく、各地の社会福祉協議会もシニアの仕事のマッチングを行っている。秋田県藤里町のプラチナバンクもそのひとつだ。シルバーよりもプラチナの方が高そうな感じはする。また、高齢者が8割を占めるものの20代を含め多様な世代が登録者として参加することから、シルバーよりも良いネーミングだ。
プラチナバンクは就職の斡旋ではなく、仕事を斡旋する。登録者が希望する収入、業務、時間や体力などの条件を事前に提示し、仕事の依頼があると、それに適した登録者のチームを構成して派遣する。小さな労働力をたくさん集めて、大きな労働力を組織して提供するいわば「労働力の銀行」のような存在だ。シルバー人材センターに比べて、より事業者としての性格が強い。たとえば、「白神まいたけキッシュ」の製造、販売も事業者としての業務だ。社会福祉協議会のホームページでは、冷凍した「白神まいたけキッシュ」を通販で売っている。高齢化が進み、民間企業だけでは労働力の集約が困難な地域では、このように、公的機関も事業者として地域の労働力の活用を図ることに、一定の意味はある。