65歳以上の就業率25%、シニアが企業を支える時代
経験や技術を伝え、次の世代を育てる。働くシニアが増え、シニアの社員に求められる役割も大きくなっている。人材難を背景に、企業にとって欠かせない存在となりつつある。
(中略)
総務省の労働力調査によると、2022年の65歳以上の就業者数は912万人で、過去最多となった。65歳以上の人口に占める就業者の割合も、25・2%となり、増加傾向にある。特に、65~69歳の就業率は11年連続で上昇し、5割を超えている。
(中略)
金沢市の建設業「トーケン」の会議室。工事現場の様子を映し出すモニター越しに、技師長の岡喜勝さん(69)から同市内の現場にいる社員へと指示が飛んだ。同社は2017年から、360度回転し、画像を拡大することでボルトの状態まで確認できる高精細カメラを現場に設置。本社の会議室やタブレット端末で、現場の様子を視聴できる仕組みを整えた。
( ヨミドクター 4月18日)
シニアの働き方の主流は、60歳で定年、再雇用に切り替えて65歳まで働くという形態だが、65歳以上も働く人は、着実に増えている。特に、新卒採用で十分に人材を確保できない中小企業では、従業員に長く働いてもらうことは企業の存続に関わる重要な課題だ。
高齢の従業員に安全に能力を発揮してもらうためには、企業としても作業環境の改善を進める必要がある。トーケンのようにネットワークを介した遠隔操作で現場の状況を把握し、指示を出す環境があれば、高齢の従業員が現場に足を運ばなくても、現場の作業の監督が可能だ。危険な建設現場での労災も減るだろう。
さらに、固定のカメラだけでなく、ロボットにカメラを搭載すれば、ロボットが足場を縦横に歩き回って現場の状況をチェックすることができるし、ドローンを使えば、空中から監視することもできる。ICTを活用すれば、高齢者の労働環境は飛躍的に向上する可能性がある。