東電や中部電、高齢者見守りや省エネに電力データ活用

東京電力ホールディングスグループや中部電力などが家庭や企業から集めた電力データを本格活用する。地域の二酸化炭素(CO2)排出量の把握や高齢者を見守るサービスを進める。電力データは生活パターンをほぼリアルタイムに把握できる。これまで包括的な利用が進んでこなかったが法改正で活用が可能になった。位置情報などのビッグデータと連携が増えれば生活が便利になり、新たな消費の創出につながる。
(日本経済新聞 4月13日)

かつて、象印マホービンが湯沸かしポットの利用状況から高齢者の見守りをするサービスが話題になったが、ポットに限らず、電力の使用状況がリアルタイムで分かれば、より詳細に高齢者の生活状況を把握することができる。人が検針する必要のないスマートメーターの普及によって、技術的には可能だったが、電力データを他の目的で使って良いのかという法的な問題が残っていた。2022年4月に施行された電気事業法の改正によって、ようやく利用が始まる。

高齢者が、毎日、同様の生活パターンを繰り返しているとすれば、通常とは異なる電力使用をしている場合には、何か異常が発生した可能性がある。ただし、家庭の電力使用パターンは季節によって異なるし、冷蔵庫のように住人が不在でも一定の電力を使用し続ける電化製品もある。AIで判断させるとしても、一定期間の電力データの蓄積と異常が発生した場合の電力使用量変化のデータが必要だ。中部電力は、長野県松本市など限られた地域で提供を始めるようだが、むしろ、地域を限定せず、管内全域に一定期間無償で提供して、AIの学習データを早く大量に蓄積した方が、判定精度の向上に寄与するだろう。