94歳の現役俳優兼シンガー、リーヌ・ルノーが絶やさない活動への情熱
80年代よりエイズ撲滅のアイコン的存在となって以来、力強いメッセージを発信し続けているフランスの国民的シンガーであり俳優のリーヌ・ルノー。彼女の為に書かれた最新作『パリタクシー』(4月7日公開)は、フランスで初登場ナンバーワンの大ヒットとなった。94歳にして、“終活に向かう92歳のマダム”を演じ、今を生きる女性たちに大いなるエールを送る。
(中略)
“怒ると老ける、微笑むと若返る”という劇中に登場するセリフが好きだという。映画中には、ルノーの人となりを彷彿とさせる滋味と教訓に満ちたセリフが満載だが、後進たちにアドバイスをするとしたら、「情熱を持ち続けること」だと断言する。
(VOGUE JAPAN 4月3日)
リーヌ・ルノーは、フランスのみならず、欧米を中心に世界で有名な女優であり歌手だ。俳優や歌手としてだけでなく、エイズ対策や尊厳死の権利確立など、社会問題に取り組んできた著名人としても知られている。そうした活動的な人生を支えてきたのは、彼女の言葉どおり「情熱」なのだろう。
90代になったリーヌ・ルノーの情熱は、18歳でムーラン・ルージュの舞台に立った時の情熱とは違うのかもしれない。若い頃は目の前の仕事で成功することや自分が成長することに熱心だ。今のリーヌ・ルノーは、自分の想いを社会に伝えておかなければならないという使命感が情熱の源泉のように見える。
一般的には、歳を取っても「情熱を持ち続ける」ことは難しいことのように思えるが、人生のそれぞれの時点で、自分にとって大事なことが何かを理解していれば、その実現に向け、いくつになっても情熱を持って社会と関われるのかもしれない。仕事でも趣味でも地域コミュニティーでも良いが、社会との関わりの中で、自分のやりたいことを持ち続けることが大切だ。