定年後のやりがい探し、50代以降を3つに分けて考える

現在慌ただしく過ごしていても、定年後には、ぽっかりと空き時間ができる――そのときに自分は何をして日々を過ごすのか、新たに「目標」や「やりがい」を見つけた方がいいのか、とあれこれ考えてしまう方もいるでしょう。元・陸上自衛隊心理教官の下園壮太さんは、現在から老後にかけての人生を「3つの時期に分けること」を提案します。それぞれの時期、自分はどんな状況になっていくのかをイメージしてみると「やってみたいこと」が整理できるもの。
(日本経済新聞 3月23日)

下園氏は、50代以降を「準備期」「陽の時期」「陰の時期」に分けることを提唱している。65歳と75歳が時期の区切りだ。65~75歳が陽の時期となる。比較的若くして退職する自衛隊で心理教官を務めた下園氏の指摘は示唆に富む。

陽の時期は、多くの人にとって、現役は引退したけれどもまだまだ元気でアグレッシブなアクティブシニアの時期だ。この時期に、新たな生き甲斐を見出すことが、その後の人生を心豊かなものにする。

国のために命をかけることを求められてきた自衛官だけでなく、多くの人が、世のため、人のため、家族のために働いてきた。仕事を辞めて、その価値観から解放されたとき、生きる目的を見失うこともある。しかし、人間以外の生物は生きること自体が目的であることを思い起こせば、日々、生きていることに喜びを感じることはできる。そして、その喜びを、地域社会やソーシャルメディアなどの人のつながりの中で共有することができれば、それは、幸福の輪を広げる立派な社会貢献だ。下園氏の指摘のとおり、過去の価値観に拘泥せず、人生の時期に合わせて、「やりたいこと」を再整理することは、陰の時期に至るまで充実感を持って生きることにつながるだろう。