自分という商品のブランドを作ろう-第二回-

キャリアコンサルタント山口由美子
第一回はこちら⇒自分という商品のブランドを作ろう-第一回-

転職は必要?

-浅井 いままで担当された中で転職の必要ないかな?という人はいますか?

-山口 そうですね。今の状況に満足している、あるいは脇目をふる余裕もないほど没頭しているという場合もあると思いますので、敢えてそのような時に余計な活動をする必要はないかもしれません。ただ、経済・社会など私たちを取り巻く外部環境は目まぐるしく変化しており、何事においても安泰ということはありえないですね。
ですから、いくらこの瞬間に満足していても、それがいつまで続くのかはわかりませんので、常に労働市場における自分の商品価値を意識して、自分は今の会社以外で何ができるのか、他のどこに活躍の場があるのか、ということにアンテナを張っておくことは自分自身を守る上でとても大切だと思います。
むしろ安住が一番のリスクといってもいいでしょう。世の人がうらやむような超優良・安定会社がある日突然に足元をすくわれ瓦解しかかってしまうような例は、ちょっと考えただけでもいくつも浮かびますね。常に自分をオープンにして色々なポジションの話を聞いたり、自分という商品の世の中での市場価値に興味をもちましょう。
特に自分の業界の外の話はとても新鮮で貴重なので、転職する・しないにかかわらず、自分のキャリアを考える上で多くのヒントが得られると思います。

シニアは現場を知っている人、現場の第一線で戦える人が求められる

-浅井 シニアではどのような人が求められますか?

-山口 一言でいうと現場を知っている人、現場の第一線で戦える人ではないでしょうか。管理職が長い人はその会社という一つの完結した世界の中での手練手管は知り抜いているかもしれませんが、果たしてそれらが会社の外でどれだけ通用するスキルなのかということに着目した方がよいと思います。市場価値を高めるためには、普遍的に使えるスキルや専門性が最も有力な武器となります。

自分がずっと食べていく力を持ち続けるためにはどうすべきか、自分を一旦会社と切り離して考える

-浅井 でも特に大きな会社にいると、ずっと技術の現場にいたいと思っても会社から管理職をといわれたら、ずっと現場にいることは難しいですよね?

-山口 それは1つの会社にずっといることを前提とするからですね。かつては1つの会社にずっといることにメリットがありました。しかし会社にずっといれば終身雇用で守ってくれて、ハッピーリタイヤできる時代は既に過去のものとなりました。
これからは年金がいくつで貰えるのかわからないし、会社もいつまでも保障してくれない、制度がいつまで持続するのかさえ分からない時代です。その中で自分がずっと食べていく力を持ち続けるためにはどうすべきか、自分を一旦会社と切り離して、考えるべきではないでしょうか。つまり労働市場の中の商品として、客観的に自分の「ウリ」を棚卸してみるとよいと思います。

スキルを軸にマッチングが出来るシニア活用の可能性

-山口 そういう意味でいうと、シニア活用は単にリタイヤした人の40代、50代のマネージメントへのキャリア移動の際に、それとは違うキャリアで働く選択肢を探る、例えば技術者として新たな会社を探すという時にも活用できると思いますね。
シニア活用は、スキルを軸にマッチングが出来るので、現場でやる選択肢が見つかるかる可能性があります。そこでスキルを継続していくことができますよね。

またシニア活用は、個人のスキルに対して値段がつくような、新しい労働市場を形成するものになりえます。
そこでは、スキルと同様に、働きたい時間帯や時間の長さ、働く場所なども併せて自由に希望する就業形態を登録して、その条件にあう仕事を提供できる会社とのマッチングをすることで、小さな子供のいるお母さんや、介護をする中高年など、色々な方々が登録して仕事を探すツールになれるといいと思います。
また企業の方でも、そのような人を上手く活用している事例を見て取り入れることで、より効率的で弾力的な労働力を手にすることが出来るかもしれません。あるいは小企業では手が届かないような、最先端の経験をもったハイスペック人材を安く雇いれることも可能になると思うのです。そのような未来の働き方のルーツとして発展させていくことが出来ればよいなあと考えています。