「Best For the Compnay」の理念で動ける人が大切
1972年、慶應義塾大学商学部卒業(専攻:マーケティング)、三井物産株式会社入社、主に資源・エネルギー分野の営業・投資管理を担当、豪州の石炭新規プロジェクトの立ち上げに携わった。海外駐在歴は豪州・南アフリカ・ニュージーランド(現地法人社長)の3か国、14年間。
2006年、会社法施行の年に主要子会社の常勤監査役就任、新たな法制下での内部統制の構築・運用、また米国企業改革法(SOX法)、金融商品取引法(J-SOX)対応を含め、内部統制の進化・深化に注力、良い会社の具現化に努めた。その間、グループ会社50余社からなる監査役特別部会の幹事、公益社団法人日本監査役協会監査実務部会の幹事を歴任。
2012年10月、ジーニアスに参画。「顧客への貢献」を主眼に、自らの信条である「生涯現役」を実践する。
事業承継のための人探し
-浅井 今まで携われた案件はどのようなものですか?
-松平 オーナー会社の事業承継にかかわる人材の案件がありました。
いわゆる一代で築いたオーナー会社では、社長が高齢になった時に、次に誰に会社を継が
せるのか?ということが重要な問題になってきます。
経営者として、ちょうど良い年齢でスキルに恵まれている優秀な子息や、後継者としてふ
さわしい人材ががいれば問題ありませんが、全ての会社がそのように恵まれたケースばか
りではないですね。
そのようなケースでは、後継者が育つまでの橋渡しとして事業を継承できる人材が必要に
なります。
実際に、このようなケースで経営者としての経験と実力を持った人材を紹介して欲しいと
いう案件がありました。
オーナー企業の特性と苦悩
-浅井 かなり難易度が高そうですね。
-松平 そうですね。
大事なことは、会社というものはオーナー社長であっても社長の私物ではない。事
業や技術、会社の組織も社長の私物ではないということです。
会社というのはいわゆるステイクホルダーみんなのものなのです。特に社員は会社にと
って財産ですから、社員とその家族が永年にわたり幸せに暮らしていけなければ会社とし
ての存在意義はないわけですよ。
ただオーナー会社にはオーナー社長がそこの意識を取り違えてしまっているケースが結構
多くて、
いざ事業継承しようという時に大変難しい問題が持ち上がるんです。
跡取りが事業を引き継いだ場合、失敗するケースが結構多いんですよ。
初代は会社を立ち上げて苦労しながら一生懸命に会社を大きく育ててきた訳ですが、その
子息はというと苦労もせず育ってきた場合が多く、ハングリー精神もなく経営者としての
自覚がないまま社長に就いてしまうと会社をダメにしてしまうことも多いのです。
それにオーナー企業には特殊性があります。
オーナー考えていること、言っていることがすべての面で会社全体に大きい影響を与える
訳です。いわゆるワンマン経営です。
そういうオーナー会社というのは、後継者というものを育てていない場合が多いんです
よ。
オーナーがワンマンでファイナルだから、ワンマン経営が必ずしも悪い訳ではないです
が、オーナー社長のいうことを聞く人ばかりで自分で考える、意見を言える人が育たない
環境となってしまう。これがオーナー企業の泣き所なんですよ。
オーナー会社は社長一人の性格がすべて表に出た形の組織になるので、改革とか効率化と
かが進めづらく、組織の体制はあっても形だけで、マネージャー陣が自分で責任を取ろう
としない組織になってしまうことが多いのです。
「徳」があるひとでなくては。人の心を掌握することはできない。
事業を継承して改革や効率化を進めるためには痛みも伴います。
それはとてもハードルの高い仕事です。下手をすると社員からの反発を受けるのは必至で
す。
それを進めるためには「徳」のあるひとでなくては社員の心を掌握することはできません
だた「いい人」ということではなく、厳しくても信頼関係を築けるひと。そして責任をと
れる人でなければなりません。
だいたい役員以上をやった人、マネージメント層ですね。経営判断にかかわった人でない
となかなかできないですね。
Best For The Companyで動ける人。それが一番大事
これがね~。大会社でいくら高い地位に就いた人でもそのまま通用する訳ではありませ
ん。
中小規模のオーナー会社、何百人単位の会社と大会社とは全然違う。大会社の看板で仕事
してきた人の中には、新たに入った会社で上から目線で虚勢をはるということがままあり
ます。
そういうことになるのが一番最悪ですね。
-浅井 どういう基準で選ぶんですか?
-松平 マネジメント、経営幹部経験者でしかもそこまで大きくない何百名単位の会社。大
会社出身者は結構難しいですね。
ある程度の規模の会社で自分で判断して事業を進めた経験がある人。責任を取るポジシ
ョンにいた人かな?
でもやはり「人」なんですよ。一旦入ったらBest For The Companyで動ける人。そ
れが一番大事ですよ。