共働きが増えるシニア世帯-夫で変わる妻-
65歳を過ぎても元気に働くシニアが増えていますが、それは、夫だけでなく、夫婦ともにその傾向にあるようです。シニア共働き世帯、8組に1組
65歳を過ぎても夫婦で働く「共働きシニア」が増えている。総務省の労働力調査によると、2014年4~6月の共働きシニア(農林業を除く)は前年同期比11・9%増の66万世帯となり、過去最高を更新した。元気なシニアが増えているうえ、人手不足の企業が高齢者の雇用を増やしているためだ。高齢者の懐が潤えば、個人消費の下支えにつながる。年金財政改善などの効果もありそうだ。
夫婦ともに働いている世帯のうち妻が65~74歳の世帯を調べた。共働きシニアはこの10年で30万世帯近く増えた。シニア夫婦8世帯に1世帯が共働きの計算となる。
共働き世帯が増えた主因は、働くシニア女性の増加だ。高齢化に伴い65歳以上の就業者は前年同期から7・7%増えたが、女性の伸びが9・8%と男性の6・6%を大きく上回る。特に介護、製造業、流通業など人手不足が深刻な業種で女性の就労増が目立つ。(9月23日 日本経済新聞)
夫の就業状態により変わる妻の就業事情
総務省統計局は、労働力調査の基本集計で、労働力人口,就業者数・雇用者数(雇用形態別(正規・非正規雇用者など),産業別,職業別など)、就業時間、完全失業者数(求職理由別など)、完全失業率、非労働力人口などの結果を毎月提供しています。その中に妻の年齢階級別就業状態と夫の就業状態との関係を示す統計があります。
それによれば、2014年4~6月の妻が65歳~74歳の世帯では、夫が就業者である場合に妻も就業者である割合は45.1%、夫が働くつもりのない非労働力人口に含まれる場合に妻が就業者である割合は10.6%です。つまり、夫が仕事をしている世帯では妻も働くことが多い傾向があることがわかります。
夫の職業が農林業であったり自営業であったりすれば、妻がともに働く割合が大きくなります。夫の職業が農林業の場合66.7%、非農林業の自営業主では59.1%です。これらの職業は、もともと家族単位で営まれてきましたから、共働き比率が高いのは当然とも言えます。
共働きが増加するシニア層
ただ、夫が非農林業の雇用者であっても33.6%の妻が働いています。これは、夫が働いていない世帯の3倍です。どうやら、夫が仕事を辞めて収入がないから代わりに妻が働くというよりも、夫が元気で働いているから妻も働こうと思うことの方が多いようです。一日中家にいる夫を置いて外で働くのは難しいと考える妻も多いのかもしれません。妻に元気に働いてもらうには、夫も元気に働き続けるのが一番のようです。
共働き率が増加しているのもこの層です。前年同期(2013年4~6月)の夫が非農林業の雇用者の世帯における共働きの割合は30.1%でしたから、1年で3.5ポイント増加したことになります。景気回復による人手不足も追い風です。今後、さらに雇用者シニア世帯の共働きは増えていくでしょう。
この共働きシニア世帯の増加が新たな労働力と需要を生み、経済成長の一助となって、さらなる雇用の拡大につながることが期待されます。そのためにも、世の夫の皆さんは、65歳を過ぎても元気に働き続けましょう。