あなたはどうする?-老後の海外移住-
引退したら、暖かいところでゆっくり過ごしたい…と思ったとき、海外で生活する、海外へ移住するという選択肢は入ってきますか?
老後の海外生活というと、バブル期に通産省(当時)の旗振りで「シルバーコロンビア計画」というのがあったことが思い出されます。
温暖な気候、日本と比べると安い物価水準、恵まれた居住環境の下で、リタイア組が安心して生活ができるように、日本人向けの居住地を海外に建設しようとしたものです。
しかしながら、現地社会とは隔絶した日本人村を作ることに、対象とされた国・地域から“老人の輸出”といった批判を浴び、計画のままとん挫。
国策として進めようとしたところに無理があったようです。
ところがここ数年、シニアの海外長期滞在、海外移住が再び注目を集めています。
団塊の世代がリタイアを迎えていること、さらには、東日本大震災をきっかけとしてライフスタイルを見直す人々が増えていることも一因のようです。
ロングステイ財団の統計によると、海外での長期滞在旅行者は2012年には147万人に達しており、過去30年間で約6割増加しているそうです。
ちなみに、この財団ではロングステイを「生活の主たる源泉を日本に置きながら海外の一か所に比較的長く(2週間以上)滞在し、その国の文化や生活に触れ、現地社会での貢献を通じて国際親善に寄与する海外滞在型余暇」と定義しており、ロングステイ普及のためのセミナーや情報提供を行っています。
同調査によるロングステイ希望国は、マレーシアが1位で、タイやフィリピン、シンガポールといったアジア諸国も上位に入っています。
ハワイやオーストラリア、ニュージーランドなどの英語圏も依然として人気は高いようですが、マレーシアがトップというのは7年連続だそうで、「安近暖」安くて近くて暖かい国・地域の滞在を好むようになってきている、と分析されています(JTB総合研究所コラム 古河彰洋ロングステイ財団事業部長)。
マレーシアの人気が高いのは、治安が良いこと、物価が安いこと(日本の3分の1以下)、日本人の長期滞在者が増加しており、日本人の友人や知人が作りやすい環境、などだそうです(海外移住.comより)。さらに、マレーシア政府が、一定の資産を持つ富裕層に10年間自由に入出国できる長期滞在査証(MM2H:マイマレーシアセカンドホーム)を発行したり、世界の有名な学校を誘致して教育を目的とした若い親子の受け入れも積極的に進めるなど、富裕層の誘致に国を挙げて取り組んでいることも、人気の背景にはあるようです。
海外で暮らすのには様々な不安があるものです。海外で暮らす不安3大要素は「医療、治安、言葉」とのことですが、60代では特に医療への不安が突出しています。
しかし、最近ではアジア各国がメディカルツーリズムに力を入れており、日本にいるよりも低コストで最先端の医療サービスを受けられることも考えられます。
海外ロングステイ、考えてみてもよいかもしれませんね。