高年齢者雇用安定法改正-企業の取組み

koureisha

 働き続けるシニアの数が年々増えています。
65歳以上の就業者数は2013年には630万人を超え、全労働力人口(6568万人)の1割にも達しようかという勢いです(総務省統計局、労働力調査による)。
昨年4月に高年齢者雇用安定法の改正が行われ、企業は定年の廃止、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入のいずれかの措置を講じるように義務付けられました。

 その結果、改正後の6月に行われた「高年齢者の雇用状況」調査(厚生労働省)では、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は前年と比べて大幅に増加し(17.7ポイント増)66.5%に達していました。
今年の調査では、さらにその割合が増えていることは間違いありません。
継続雇用というのは、当然のことながら、企業にとってはコストが増えるということになります。
しかるべき給与を払っている社員をそのままの形で雇用するだけの負担はできない。そのため、雇用形態や待遇を見直さざるを得ない。
そうすると、シニア社員のやる気がそがれる… そのような悪循環がよく言われてきました。
しかしながら、継続雇用の義務化という面からも、シニアの経験やスキルを活かすという面からも、様々な形態をとる企業が増えてきているようです。
高年齢者雇用安定法改正1年を迎えた、各企業の取り組みを紹介します。

・ 大和証券:個人向け営業職を中心に70歳まで継続雇用
NISA導入などもあり、営業現場では人材が不足。同年代の投資家層へのスムースな営業も期待。賃金は現役の最高時から3割減るものの賞与は現役と同じ体系に
(日本経済新聞 2013/9/26)

・ 京阪電鉄:全国の鉄道会社に先駆けて定年を延長
再雇用制度では業務範囲が限られ、各自の経験が十分に生かしきれなった。長年の経験で培った安全を守るノウハウを時間をかけ丁寧に伝承していく。45-45歳までの賃金上昇を緩やかにすることで、労務費を圧縮
(日本経済新聞 2013/10/17)

・ 大東建託:シニアを若手と同様の成果主義で評価
営業や技術部門など職種に係らず、シニアも若手と同じ土俵に乗せることでスキルやノウハウを競わせ、職場の活性化をはかる。成績によっては定年前以上の給与で待遇されることも
(日本経済新聞 2013/11/22)

・ JFEスチール:65歳で退職したベテラン社員を若手の教育係として処遇
65歳までの継続雇用者だけではなく、65歳で退職した技能者も含め「テクニカルエキスパート」として、現場教育に専念してもらう。現場作業員の約3割が今後9年間で退職することが見込まれる一方、入社10年までの若手が4割を占め、技能伝承が急務
(日本経済新聞 2014/1/19)

・ 持田製薬:再雇用社員に賞与を支給
豊富な医薬品の知識や人脈を活かすことのできる医薬情報担当者(MR)を中心に、現役社員と同様に評価して就業意欲を高める。人件費は膨らむが、シニアが現役世代並みに活躍することでのプラス面を期待
(日本経済新聞 2014/3/6)

・ 東急リバブル:継続雇用の上限を2014年4月から70歳に引き上げ
地域の不動産の動向に精通する営業社員を継続雇用し、培った経験や人脈を中堅・若手社員に引継ぎ、会社全体の営業力の底上げをはかる。現在は65歳まで継続雇用。賃金は現役世代の半分程度だが、対象者の8割弱が雇用継続を希望して働いている
(日本経済新聞 2014/3/19)