介護業界の救世主となるか?-「介護ロボット」-
基幹研究所HPより
市場規模は拡大
在宅で介護を経験した人が、苦労をしたとするのは
「排泄(排泄時の付き添いやおむつの交換)」
「入浴(入浴時の付き添いや身体の洗浄)
「食事(食事の準備、介助)」
「移乗(車いすからベッド・便器・浴槽・椅子への移乗動作の介助)」
など(内閣府「介護ロボットに関する特別世論調査」2013/9月)。
これらの苦労を軽減するとして注目されているのが介護ロボットです。
現在の市場規模はまだ2億円に届かない程度ですが、2015年度には23億円、さらに2020年度には約350億円にまで急拡大するという予測もされています。
(矢野経済研究所「介護ロボット市場に関する調査結果」2014/1月)
介護ロボットには、脳から送られる電気信号を感知して筋肉に動きを伝え歩行を支援するもの、ベッドと車いすが一体化し人手をかけなくても移乗ができるもの、高感度センサーでおむつの中の変化をとらえ液体や固形物を即座に処理してくれるものなどがあります。
これまでは、“ロボット”という言葉のイメージ通り、多くの機能を持ち大型で価格も高いものが目立ち、「トイレと車いすが自動的にドッキングする装置など2000万円のするものもあった」とのこと(日本経済新聞2014/2/25)。
しかし、100万円程度で同種のベッドの販売が予定されていたり、介護職員の筋力をサポートするスマートスーツが1着4万円弱で試験販売されていたりと、簡素化・低価格化も進んできました。
国も乗り出す!
国も介護ロボットの本格的な普及をめざし、介護現場のニースを踏まえた機器を開発し、実用化をはかっていくとしています。
経済産業省と厚生労働省は、ベッドから車いすへの移乗介助、移動の支援・介助、排泄支援、認知症の人の見守り、入浴支援を重点分野と定め、2013年度から約24億円を「ロボット介護機器開発・導入促進事業」に投じることとなりました。
機器の開発のみではなく、実用化のための評価方法や標準化など、普及を視野にいれた取り組みとなっていることが特徴です。
介護保険制度の適用対象範囲の拡大も模索されています。
ロボットや機械に人の介護・介助を委ねることに抵抗感があることも確かでしょう。
前出の内閣府の世論調査では、「介護する際に介護ロボットを利用したくない」という人は33.9%、「自分が介護を受ける際にロボットを利用してほしくない」という人も29.3%います。
しかしながら、高齢化に伴い2011年度に335万人だった介護サービスを必要とする人は、2025年には500万人前後にまで増えると見込まれています(厚生労働省「医療・介護に係る長期推計」2011/6月)。
これらの介護サービスを提供するために必要な人員は、現在の倍、120万人程度必要となります。
一方で、介護現場では低賃金や身体的負担の大きさ等から、現在でも慢性的な人手不足に悩まされており、全国の介護サービス事業所の57%で従業員が「不足している」という調査結果も出ています。
(介護労働安定センター「介護労働実態調査結果 平成24年度」)
高齢化社会を迎え、介護を社会全体としてどうやって担っていくのか。根本的なところから考えていく必要があるのかもしれません。