サイレントキラー「糖尿病」への危機感
70歳以上の罹患率は40%以上!
糖尿病、みなさんは大丈夫ですか?
厚生労働省の統計によると、「糖尿病が強く疑われる」もしくは「糖尿病の可能性を否定できない」人の数は約2050万人。年齢層が高くなるほどその数は多くなっており、男性では50歳代の22.4%、60歳代では36.2%、70歳代以上になると40.9%に達しています。
この糖尿病の調査は5年ごとに実施されており、2012年調査では5年前より予備軍が約220万人減少し、高齢化の進展で強く疑われる人の数は増えたものの、全体として1997年の調査開始以来初めて減少したそうです。
厚生労働省は「生活習慣病対策として2008年から始めた特定健診・特定保健指導の効果が出ているのではないか」とみている(日本経済新聞 2013/12/19)そうですが、シニア男性の3人にひとりに糖尿病の可能性があるというのは、改めて見てみると恐ろしい数字です。
その名もサイレントキラー
糖尿病は様々な合併症を引き起こします。健康日本21推進フォーラムが昨年実施した調査によると、糖尿病と診断された患者のうち、合併症を併発している人の割合は2割。その合併症は、視力低下や失明などの網膜症、しびれや麻痺・発汗異常などの神経障害、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、腎不全や尿毒症など、いずれも生活の質を大きく壊してしまったり命が危険に晒されるような重大な病気なのです。
ところが、この病気は自覚症状がない場合が多く、別な厚生労働省の調査では、健康診断などで検査を勧められたりして病院を受診し糖尿病と判明した人のうち、約4割の人には自覚症状がなかったそうです。気が付かないところで進行しいつの間にか手遅れになってしまう、サイレントキラー(静かなる殺し屋)と言われるゆえんです。
糖尿病の原因は、遺伝的要因がない場合には、肥満、過食、高脂肪食、運動不足、喫煙などのいわゆる生活習慣。
ついつい食べ過ぎてしまう、運動したほうがいいとは思ってもなかなか続かない、タバコを止められない…そのような積み重ねで発症してしまった人にとっては、食事療法や運動療法の継続というのも楽なものではありません。
発症後7割以上の人が「好きな食べ物を控えなくてはならなくなり」、42.5%の人が「食事にストレスを感じるように」なったとのこと。
その結果、糖尿病と診断された後に、半数以上がストレスを感じるようになり、生活満足度も減ったと答えています。
厚生労働省が積極的に推進しているとおり、定期的に健康診断を受けて危険性を早期発見することはもちろん大切ですが、やはり健康に気を配って毎日の生活を送ることが基本となるのでしょう。
ただ、60歳代以上のシニアは、他の年代に比べて運動習慣のある人の割合は高く、野菜・果物の摂取量も多いのです。ということは、若い頃からの習慣の積み重ねがポイントなのかもしれません。
糖尿病を発症すると、本人のストレスが高まるのは先に見たとおりですが、家族も「精神的な負担」や「金銭的な負担」を感じ、半数近くがストレスを感じているとのこと。
自分のためにも、家族のためにも、健康的な生活をつづけ、定期的に健康診断を受け早期発見に努めることが必要なようです。