都知事選-シニア候補者と都民の選択-

tochijisen
資料:東京都総務局統計部、東京都選挙管理委員会

投票率46.14%。原因は大雪だけ?

新しい東京都知事に、舛添要一氏が選出されました。今回の投票率は46.14%。
2020年のオリンピック・パラリンピック開催に向け、様々な社会課題を抱える首都東京のトップを選ぶ選挙の投票率としては、若干寂しいものがあります。
前日に記録的な大雪に見舞われ、人々の足が遠のいたという要因はあるとは思いますが、私の周りやもっと若い人々の間では「投票したい人がいない」「誰も選べない」という声も少なからず耳にしました。そこで、候補者の顔ぶれを見直してみました。

知事の被選挙権は30歳以上ですが、16名の候補者の年齢分布は、

49歳以下=1名 50歳代=2名 60歳代=7名 70歳以上=6名

候補者の8割が60代以上というのは、いくら社会全体の高齢化が進んでいるとはなかなかに凄い割合です。
試しに、有権者である20歳以上の人口構成と比較してみました。(有権者の年齢構成ではありませんが、ほぼ同じとみなします)

都民と候補者の年齢構成の大きな乖離

高齢化が進んでいるとはいえ、東京都の20歳以上の人口のうち半数以上は49歳以下です。
ところが、今回の立候補者でこの年代に該当するのは35歳の家入かずま氏ひとりだけ。年代が同じであればよいという話ではありませんが、自分たちが抱える問題意識を共有してもらえそうな候補者がおらず、自分の親や祖父の年代の候補者ばかりでは、「選びようがない」と思うのも仕方ないかもしれません。
今回の選挙の年代別投票率が明らかになるのはもう少し先ですが、参考までに、前回2012年12月の知事選の年代別の投票率を見てみると、
20代が40数%、30代が50%台、40代61%台前半、50代70%前後、60代70数%と、年代に沿ってきれいに比例していました。
今回の都知事選でも、若者に投票行動を促すキャンペーンが展開されていましたが、この人にやって欲しい、この人なら自分たちのニーズを理解してやってくれそうだ、という候補者がいなくては、いくら「投票に行こう!」と言われても、なかなか足は向かないかもしれません。

東京都の予算規模はスウェーデンの国家予算の規模に匹敵する、と選挙中に比較されていましたが、スウェーデンの首相は48歳のフレドリック・ラインフェルト氏(就任は41歳の時)。首都の長ということでは、この1月に就任したデブラシオ・ニューヨーク市長は52歳ですし、大ロンドン市長にボリス・ジョンソンが就任したのは43歳の時でした。
元々日本では、議員でも知事でも比較的マチュアな方々が立候補し、選ばれるのが普通です。
39歳の鈴木敬英三重県知事や41歳の福田紀彦川崎市長など、若くして地方行政組織のトップに立つ人も出てはきましたが、まだまだ珍しい存在でしょう。

今後もさらなる高齢化が見込まれ、シニア層にもより一層活躍をしてもらわなくてはならないという中では、65歳の舛添新知事というのはちょうどよいリーダーなのかもしれません。
一方で、高齢化対策、少子化対策が遅々としている状況を考えると、30代や40代の若いリーダーが出てきて、現状に捉われないで変革を促してほしいという気もする… そんなことを考えた東京都知事選挙の結果でした。