OECD幸福度調査
OECDは、家計所得、ワークライフバランス、住宅事情、環境など、異なる11の側面における幸福度(暮らし良さ)を測定しています。その2015年版が発表されたので、ご紹介しましょう。
・家計の平均可処分所得はOECD平均並みである一方、家計における金融資産額は、最高レベル
→ 貯蓄好きの日本人を象徴するデータですね。
・労働者の所得はOECDの平均的労働者を下回っているが、失業状態に陥る可能性はどの国よりも低い
→ 終身雇用という日本的慣行が崩れつつあると言われてはいますが、世界的にみると、まだまだ雇用の安定は確保されている、ということのようです。
・平均寿命はOECDトップの83.4歳であるが、成人のうち健康状態が良いという人の割合は35.4%で、OECD平均の68.8%を大きく下回る
→ ただ長生きするのではなく、健康に長生きすることの大切さが重視されてきていますが、健康であると自覚している人がほぼ3人にひとりというのは、かなり少ない感じがしますね。
・議会選挙の投票率は52.7%に留まり、OECD諸国の中で最低レベル
→ その時々の選挙によって投票率は増減するものではありますが、最低レベルといわれてしまうと、政治に対する関心、参加意識の低さを、改めて感じさせられます。
・生活の満足度は、OECD平均をやや下回る
→ 人々が自分の生活をどう評価しているかという具体的なデータを見てみると、10点満点でOECD平均は6から7の間。日本は6にわずかに届かないというレベルです。最も高いデンマークでも7.5ぐらいなので、「平均を下回る」と言っても、大きな差があるとは考えないほうがいいかもしれません。また、若年層、中年層、50歳以上の高年層という年齢層別に満足度を見てみると、多くの国で年齢層が高くなるほど満足度は低い傾向があり、日本も例外ではないのですが、年齢層による差は比較的小さいといえるようです。
この調査では、ボランティア活動にも注目しています。ボランティア活動を行っている人は、しない人より生活の満足度が高いそうですが、日本で過去1年間に何らかのボランティア活動をした人の割合は33.5%、OECD平均をやや下回る程度です。しかしながら、このボランティア活動が日常的かどうかというと、活動するのは1か月に一度未満という人が3分の2を超えており、毎日ボランティア活動しているという人は1.6%に留まっています(OECD平均4.7%)。震災などをきっかけに、日本人にとってもボランティア活動は一般的、日常的になりましたが、生活の一部として根付くのには、もう少し時間がかかるのかもしれません。
幸福度には色々な側面がありますし、他の国と比較して論ずるものではないかもしれません。でも、このようなデータを見ていると、隣の芝生が青く見える理由に気づいたり、私たちが何にもっと取り組むべきかということも、少し見えてくるような気がします。
(資料:How’s Life in Japan? October 2015, OECD Better Life Initiative)