ソーシャルメディアとネット終活
ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアを使いこなすシニアの姿は、もはや珍しくなくなってきました。総務省の調査(平成25年通信利用動向調査)によると、60-64歳のSNS利用率は19.3%、65歳以上でも17.4%と、既に2割近いシニアがSNSを利用しています。
さすがに、若者のように利用頻度は高くありませんが、それでも毎日1回以上利用するという人が半数近くに達しています(65歳以上、家庭内からの利用=44.6%、家庭外からの利用=47.1%)。利用目的としては、20代、30代では約4割の人があげている「ひまつぶしのため」というのは際立って低く、「従来からの知人とのコミュニケーションのため」「知りたいことについて情報を探すため」「同じ趣味・嗜好を持つ人を探したり交流関係を広げるため」などが上位を占めています。アクティブなシニアが人間関係を維持しさらに広げたり、積極的に情報を収集するための手段として、ソーシャルメディアが利用されていることがわかります。
アクティブシニアの生活にプラスになるだけではなく、ソーシャルメディアの利用によって、高齢者の認知力が向上したり、幸福感が高まったりするという研究結果も明らかになっています。英エセクター大学とSomerset Care社、Torbay & Southern Devon Health and Care NHS Trust(いずれも介護事業)の合同研究で、介護支援を受けている60-95歳までの高齢者76人の半数に、タッチパネル式のパソコンとブロードバンド回線を与え、3か月の研修の後9か月間ソーシャルメディアを利用してもらったところ、ソーシャルメディアを利用していたグループは、そうでないグループの高齢者に比べて認知能力が改善したというのです。さらに、「電子メールやスカイプなどの利用によって周囲をコミュニケーションを楽しむことや、自分の能力が高まったことの満足感などから、幸福感も増した」そうです(イロリオ コラム 2014/12/16)。
これからのシニアの生活には、様々な意味でソーシャルメディアが欠かせなくなっていくのかもしれません。と、いいことづくめのようではありますが、ちょっと気になるのは、自分自身でアカウントが管理できなくなった時のこと。突然の事故や病気などで、自らアクセスできなくなっても、ソーシャルメディアのアカウント、そこに掲載した情報は削除しない限り残ります。悪口などの書き込みで他人に迷惑がかかったり、掲載されていた様々な個人情報が流出したりする恐れもあります。「自分の死後はSNSなどのページはすべて消してほしい」という人が4割を超えるという調査結果もあります(ハフィントンポスト 2014/11/26)。
そこで注目されているのが、“ネット終活サービス”。フェイスブックは、利用者が自分の死後に自身のアカウントを管理してもらう相続人を指定できる機能の導入をアメリカで始めました。日本のYahoo!は、死亡が確認されると個人情報などの情報を削除したり、自分の死亡を知らせるメッセージを送付したり、生前のプロフィールページをメモリアルページとして残したり、という“Yahoo! エンディング”サービスを既に展開しています。
「自分が死んだ後も、この情報がフェイスブックに残ったら…」などと、いちいち考えて書き込みをするわけではないでしょうから、この“ネット終活サービス”、これから利用者が増えていくかもしれませんね。