52.66%と戦後最低の投票率だった前回を6.7%下回る衆院選-世界の国政選挙投票率は?-
注目された師走の衆議院選挙の投票率は、戦後最低の52.66%に留まりました。日本海側の雪や寒波など天候要因はあったものの、選挙の必要性や争点が伝わりにくく、人々の関心を高められなかったと言わざるを得ません。
日本だけでない、下落している世界各国の国政選挙投票率
実は、国政選挙の投票率が低下しているのは、日本に限った話ではなく世界的な傾向です。OECDが2011年に各国の国政選挙の投票率を比較してまとめたレポート(Society at a Glace 2011)では、1980年と比較して投票率が増加したのはロシア、メキシコ、スペインなど数えるほど。ほとんどの国で大幅に下落しており、OECD平均では11%のマイナス。日本は、このレポートでは1980年(74.57%)と2005年(67.51%)の衆院選の比較となっており、マイナス幅は7%。他国と比べればまだマシなほうとも言えるのでしょうか。
世界的に見ると、韓国、アメリカ、スイスの3か国では50%を切っている一方、90%を超える国も3か国(オーストラリア、ルクセンブルグ、ベルギー)あります。この3か国を含め、投票率が高い国の中には、投票が義務化されている国もあります。
シンガポールでは投票に行かないと選挙人名簿から一時的に抹消されてしまう。11年の総選挙の投票率は93%だった。オーストラリアでは国政選挙の棄権者に罰金20豪ドル(約2千円)を科す。13年の総選挙で投票率が75%だったイタリアでは憲法に「投票は市民の義務」と記す(日本経済新聞 2014/12/14)
罰金などの罰則が厳密に科される国はさほど多くはないようですが、義務投票制度が導入されている国では、投票率は概ね7-8割には達しているとのこと。義務化には当然コストがかかりますし、投票しない自由も保障されるべきであるとか、無関心な人が投票しても政治にはプラスに働かない、などのマイナス面も指摘されます。政権与党が圧勝している限り、わが国で投票の義務化が本格的に議論されることはないことと思いますが、でもやはり半数ちょっとの国民しか参加していない選挙で選ばれた人によって国政が運営されるというのは健全とはいえない気もします。
投票率が高い世代は「中高年層」
このOECDのレポートでは、16-35歳と55歳以上の投票率の世代間格差も分析しています。イタリア、ベルギーのように若い世代の投票率が上回る国もない訳ではありませんが、全体としては中高年層の投票率が高いというのが世界的な傾向です。その中でも、日本はイギリスに次いで2番目に格差の大きい国となっています。
25%余りというデータは、前述のとおり2005年の衆院選におけるものですが、前回2012年の年代別投票率で同様の比較をしてみましたら、20-34歳の投票率は41.3%だったのに対し55歳以上は68.6%と、その差は27.3%に広がっていました。今回の衆院選の年代別投票率が明らかになるのはまだ少し先のことですが、世代間格差がどのくらいまで広がっているのか興味深いところです。
資料:OECD Society at a Glace 2011
そして、今回の選挙の立候補者の平均年齢が52.2歳と前回比プラス1.8歳だったことは先般ご紹介しましたが、当選者の平均年齢は53歳で前回の51.9歳からプラス1.1歳。最年少当選者は28歳でしたが、一方で最年長は78歳。
30代、40代の世間では働き盛りと言われる年代の政治家が珍しくなくなる日は近い将来訪れるのでしょうか。