日本で平均寿命1位の村が示す長寿の秘訣とは

日本平均寿命

長野県の北部、北アルプスの麓に位置する松川村は、厚生労働省の調査による市町村別の平均寿命で男性の日本一となったことで、一躍その名前を知られるようになりました。その長生きの秘訣を探ろうとする調査の結果が公表されました。

長寿の秘訣は…「家族や地域の人々との日常的な交流」

松本大学が松川村の平均寿命である82.2歳以上の男性198人に対して行った調査で、「日常生活に不安を感じていない」と回答した人はなんと65.1%。この調査を紹介する記事では、厚生労働省が2009年に行った調査では28.1%だったので倍以上にあたる、とされていますが、厚生労働省の調査データは60歳以上の高齢者全体のものです。60歳と82歳では健康などに対する不安感は相当異なるはずですから、実際にはもっと大きな開きがあるのではないでしょうか。

生活に不安を感じないという背景には、家族や地域の人々との日常的な交流が保たれている様子が伺えます。調査対象となった松川村の高齢者の4人にひとりが三世代・四世代で同居をしているそうです。さらに、9割を超える人が農作業や家庭菜園などを含む趣味を楽しみ、半数を超える人が地域行事に参加したり、家族以外の人と外食したりしているとのこと。その結果として、10点満点での幸福度は7.44と、全国平均(65歳以上)の6.92を上回っているとのこと。

充実したシニアライフを送るのに、家族や友人との交流は欠かせません。「いきいきとシニアライフを送るためには何が必要か?」という質問に対する回答の上位は、「家族との絆」(59.9%)、「趣味や価値観を共有できる人との交流」(42.4%)、「自分の知識・経験を役立てられる機会」(37.1%)、「仕事・働ける場」(34.9%)など、という調査結果もあります(ソニー生命「シニアの生活意識調査2014」2014/9/11)。松川村の人々は、まさにこれらの要素が満たされた生活を送っているといえそうです。

意外!?長野県が実は長寿県

実は、松川村だけではなく、長野は全体として長寿県です。先の市町村別の平均寿命の調査の上位50市町村を都道府県別に見ると、男女ともに長野県がトップで、特に男性ではトップ50のうち長野県の市町村が19を占め、他を圧倒しているのですが、その背景には、やはり家族や友人、地域との交流が盛んであるという要因がありそうです。

長野県でも高齢者の単身世帯(18.7%、2010年国勢調査データ)や高齢夫婦のみの世帯(25.4%)の割合は増えていますが、それでも全国平均(高齢者単身世帯24.8%、高齢夫婦世帯27.2%)よりはかなり低く、子や孫の世代と共に生活を送っている高齢者が多いことがわかります。また、高齢者の就業率は29.9%と全国の第一位(2005年国勢調査、全国平均21.1%)とのこと。生きがいを持って行っていることに「近所の人や友人との交流」をあげる高齢者は7割近くに達し、「働くこと」「趣味、娯楽活動」「スポーツ・レクリエーション活動」「祭り・行事」をあげる人もそれぞれ3割を越しています。

長野県の健康長寿の背景には、野菜の摂取量が多いなどの食生活や、地域の保健医療活動が活発なことなども言われますが、このような体の健康だけではなく、家族に囲まれ、仕事を持ち、友人や地域の人々と共に趣味や行事に積極的に参加するという、心の健康が実は大きく作用しているといえそうです。