お墓事情-多様化する日本の終活-

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東京都の都立小平霊園に整備されている樹林墓地の募集に、10倍を超える申し込みがあったそうです。

この樹林墓地は、コブシやイロハモミジなどの樹木の下に設けられた共同埋蔵施設に遺骨を埋蔵するもので、2012年に完成し今回が3回目の募集。

「家族の遺骨を遺族が埋葬するケースは3倍前後の倍率にとどまっている一方、生前に本人などが申し込むケースは最大でおよそ20倍となっていて、生前での申し込みに人気が集まっている」(2014年8月16日 NHKニュース)

ニーズに合わせて多様化する埋葬・葬儀の形

樹木葬は、全国に20-30か所あり、近年は京都や鎌倉などの有名寺院でも樹木葬墓地を設けるところが出てきています。墓地を取得してお墓を建てるには一般的に2-300万円かかるものが、木々などを墓標にする樹木葬であれば数十万円程度で済み、掃除や日常の手入れは管理者に任せることができ維持コストも少なくてすむというメリットがあります。お寺の墓地であっても檀家になる必要はありません。

また、海や山に遺骨を撒く散骨にも注目が集まっています。「墓地、埋葬等に関する法律」では、遺骨は墓地以外に埋葬してはいけないとされていますが、散骨は遺骨の埋葬ではなく撒くものという解釈のもと各地で海への散骨が行われていますし、最近では熱海市が海を見渡せる山林の斜面を整備して散骨上を作る計画を認めたことも話題になりました。さらには、遺骨(遺灰)をカプセルに詰めてロケットに載せ宇宙に発射するという宇宙葬を手掛けるアメリカの企業もあります。

少子高齢化がもたらすお墓への考え方

樹木葬や散骨などの自然葬が注目されている背景には、少子化や核家族化でお墓を継ぐ人がいなくなってしまったり、遠く離れた場所にあるお墓の維持が難しくなったりしているという現実があるようです。自分たちもお墓の維持に苦慮した親世代が、お墓の継承や維持費用の面で子供たちに迷惑をかけたくないという思いから、新しいお墓や葬儀の形に注目をしているのかもしれません。

さらに、人々のお墓に対する意識の変化も見逃せません。少し前になりますが、第一生命が行ったお墓の継承問題と新しいお墓のあり方に関する調査(2010年7月)によると、他人と一緒に入る共同のお墓(合葬墓)に対して、「お墓として好ましくない」と考える割合が65~79歳では10%近いのに対し、64歳以下では4%程度と年代によって大きな差があります。また、海や山に遺骨を撒く散骨について「葬法として好ましくない」と考えるのは、65~79歳では24%ですが、50~64歳では8.8%、35~49歳でも11.3%と倍以上の開きがあります。やはり、団塊の世代あたりを境に、自分自身のお墓に対する意識も変わりつつあるといえそうです。

まだまだ尽きないお墓の話題

お墓に対する意識といえば、夫婦間の考え方の違いも顕著です。40-69歳の男女各250名に聞いたところ、約3分の1の女性が、夫とは同じお墓に入りたくないと答えたという調査結果もあります。

配偶者と一緒の墓に入りたいか

今夏のお盆に、皆さんはお墓参りをしましたか?そして、自分もそこのお墓に入ることに決めているでしょうか?奥さんから樹木葬に申し込んだといわれたらどうしますか?社会情勢を考えても、ここしばらくはお墓を巡る話題が続いていきそうです。