ペットの高齢化-人間との密接な関係-

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全国で飼育されている犬猫を合わせた数は2061万頭。
1990年代ごろから、ペット飼育可のマンションの増加などもあり家の中で飼われる犬猫が増え、今や15歳未満の子供の数を上回るほどになりました。

犬・猫飼育頭数と年少人口の比較グラフ

ペットの高齢化により注目が集まるサービスも

そして、このところ言われているのがペットの高齢化です。家の中で大切に飼われ、栄養バランスのとれたペットフードが開発され、医療体制も充実してきていることで、長寿命化が進み、ペットフード工業会の調査によると、犬の平均寿命は14.2歳、猫は15歳に達しているそうです。しかし、高齢になれば体力が衰えたり、他人の手を借りなければならないことが出てくるのは、人間でもペットでも変わりはありません。糖尿病などの生活習慣病にかかる犬猫も増え、さらに高齢になると自力で排泄や食事ができなくなったり、認知症になって夜中に吼え続けたりする犬も少なくないようです。

犬・猫の平均寿命と日本人の平均寿命の比較

そのような、特別なケアや介護を必要とするペットのためのサービスや施設が注目を集めています。7月に開業したイオンモール幕張新都心のペットショップに併設された老犬の介護施設は、ニュースにもたびたび取り上げられましたので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。専門のスタッフが食事や運動の介助を行い、寝たきりの犬には寝返りを打たせたりもしてくれるとのこと。そして、万一の時には同じショッピングモール内にある動物病院に24時間体制で待機する獣医師が対応するなど、万全の体制が整えられています。

これまでも小規模の介護施設は各地にありましたが、

預かるだけのペットホテルとの境界があいまいで、24時間体制のケアが難しいなど課題は多い。サービスや料金も施設ごとに異なるのが実情。(千葉日報 2014/6/11)

そこに大手企業が充実した設備を持って参入してきたことで、ビジネスとしても注目を集めているのです。小型犬で月額10万円からという価格はまさに人間の介護施設並みですが、家族の一員であるワンちゃんや猫ちゃんにできる限りのことをしてあげたいという飼い主も多いのではないでしょうか。

ペットを飼育することの効用とは

ペットというと、情操教育によいからと小さな子供のいる家庭が飼っているようにも思いますが、飼育率が高いのは、実はシニア世代。犬に限ってみると、年代別の飼育率は50代が20.0%と最も高く、次いで60代の16.4%です(ペットフード工業会調査より)。高齢者にとって犬の散歩は良い運動になりますし、犬が会話のきっかけとなり周辺住民との交流も深まります。ペットフード工業会の調査では、ペットを飼う前との比較で、ペットの効用をまとめていますが、「生活に潤いや安らぎを実感できるようになった」、「夫婦の会話が多くなった」「夫婦関係がなごやかになった」などとともに、高齢者の場合は「情緒が安定するようになった」「寂しがることがなくなった」「ストレスを抱えないようになった」などの効用もあげられています。

私たちの生活に刺激や癒しを与えてくれるペットたち。しかし、飼い主が年を取るとともに、面倒を見きれなくなることも出てくる可能性は高まります。ペットの高齢化と社会の高齢化は表裏一体の問題のようにも感じられます。