老眼鏡市場-にわかに活気づく市場-
年をとっても運動をしたり食生活に気を配ることで健康や一定の体力を維持することは可能ですが、自己努力ではどうにもしようがないこともあります。そのひとつが老眼。目のレンズ機能を調節している筋肉の調整力が低下し、自由にピントを変える力が衰え、近くの物を見る際に困難をきたす状態をさします。加齢に伴うこの調整力の衰えは人間であれば誰しも避けることはできず、手術などでは治すことはできません(日本眼科学会、日本白内障屈折矯正手術学会などのHPより)。
そこで必要となってくるのが、見えづらさを補うためのメガネ。この老眼鏡市場が、いま注目を集めています。
縮小する眼鏡市場、下落する眼鏡価格
そもそも、眼鏡市場はこの10年余りの間に大きな変化を遂げました。
1990年代後半には6000億円程度だった市場は1500億円以上縮小し、現在は約4000億円程度。JINSやZoffなど、1万円を切るような安価な統一価格を売り物にしたチェーンの台頭による単価の下落と、コンタクトレンズの普及がその背景にはあると言われています。(日経産業新聞 2014/6/4より)
このような低価格チェーン店の台頭により、既存の眼鏡チェーンは苦境に陥りました。その代表例が「メガネスーパー」。テレビCMで知名度を高めながら全国に店舗網を広げ、ピーク時には541店を展開していましたが、低価格競争に競り負け2008年以降赤字に転落。大手投資ファンドの傘下に入り、半数近い230店舗の不採算店を整理したそうです。
続々登場するシニア向け商品
そして、新たな戦略として打ち出したのが、シニア層の取り込み。眼の疲れを軽減する独自設計のレンズを開発したり、きめ細かな検査サービスや、老眼の進行に応じたレンズの交換が割引でおこなえるパックの提供などに取り組んでおり、さらには眼精疲労を改善するマッサージや検査、カウンセリングなどの「アイケアサービス」を強化した新業態の展開も始めるとのこと(Sankei Biz 2014/7/4)。そういえば、街で見かけるメガネスーパーのお店は、店構えも雰囲気も以前とはだいぶ変わりました。
元々近視だったり、乱視があったり、そこに老眼が加わり…と、人によって見え方は様々ですし、症状が進行するため、一度自分に合わせて作ればそれを使い続けられるものでもありません。そのため、老眼鏡に関しては、百円均一ショップでも売っているような、度数が決まったリーディンググラスを利用して済ませてしまうか、逆にきめ細かく検査をして対応してくれる街の眼鏡店や百貨店などに入っているような大手眼鏡店の利用が中心だったとのこと。メガネスーパーは、そこに目をつけて新たな市場の開拓を目指しているという訳です。
さらに、低価格チェーンも、Zoffが今年新たにリーディンググラスを発売したり、Zoffは女性誌と組んで女性向けのオシャレなシニアグラスを発売したり、とミドル・シニア層の取り込みにも注力しています。
見えづらいと思っても、老眼と認めたくなかったり、見えないわけではないから…とついつい先送りしてしまう老眼対策。でも、老眼は肩こりや頭痛の原因にもなることがあるとか。まずは、気軽にメガネのチェーン店を覗いてみてはいかがでしょうか。