スポーツ界の定年―ワールドカップ最年長記録より―
連日熱戦が続くブラジルワールドカップ。日本は残念ながら予選リーグで敗退してしまいましたが、この予選リーグ最終戦コロンビア戦で世界的な話題となったのは、ワールドカップ出場の最年長記録の更新です。
43歳のコロンビアのゴールキーパー、ファリド・モンドラゴン選手が後半40分に交代出場し、それまでの記録(1994年アメリカ大会に42歳で出場したカメルーンのミラ選手)を更新しました。ゴールキーパーというポジションは経験がモノをいうため、比較的年長の選手も数多く活躍しています。それにしても、1993年に初めてコロンビア代表入りをしてから20余年、第一線で活躍を続けているというのは素晴らしいことです。
ワールドカップに出場する選手に年齢制限はありません。今大会も43歳のモンドラゴン選手から、18歳のルーク・ショー選手(イングランド)まで、出場選手には25歳もの年齢差がありました。
一方、試合を裁く審判員には定年制があることをご存じでしょうか?
ワールドカップのような国際大会を担当する国際審判員の定年は国際サッカー連盟によって45歳と決められています。選手と同じかそれ以上に走り、瞬時に的確な判断を下さなくてはなりませんので、年齢制限があるのも当然かもしれません。ただ、活躍が認められれば若くても代表に選ばれる選手とは異なり、審判員は資格(級)によって担当できる試合のレベルが決まっており、一級ずつステップアップしていかなければなりません(日本の場合。国によって異なる)。ある意味では基準が明確で非常に公正であると言えるのですが、優秀でも極端な飛び級は認められませんし、体力や判断力が若者以上であっても、45歳を超えると国際大会には出られない、という硬直性もないわけではありません。
他のスポーツに目を転じてみると、サッカーと同様に審判に定年があるのがプロ野球です。
定年は55歳。ただし、能力を維持できると判断されれば55歳を越えても活躍できるそうで、さらには58歳までの定年延長も決まっています。(朝日新聞デジタル 2010年6月29日)
プロ野球の審判員として採用されるのは年に数人という狭き門ですが、年齢が30歳以下という以外は野球経験も問われないとのことで、こちらはある意味実力本位の世界と言えそうです。
相撲の親方にも65歳という定年があります。親方は、日本相撲協会の構成員として、場所の開催・運営から力士の育成まで様々な業務を担っており、相撲協会から親方としての給与をもらっています。三役在位1場所以上、幕内在位通算20場所以上、十両(以上)在位通算30場所以上、という現役経験と年寄名跡を持つという要件は満たさなければなりませんが、一度親方になれば、定年までその地位は保障されます。
大相撲での不祥事が続いた時に、親方制度が内向きの体質を作り上げているという批判を呼びましたが、考えてみると、日本の企業も少し前までは同じような体質だったような気も… ちなみに、世の中の高齢化トレンドを鑑み、先ごろ相撲協会の理事会で親方の定年を70歳まで延長することが決まったそうです。