シニアとコンビニ-高齢化社会に向けて-

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日本にセブンイレブンの第1号店が開店したのが1974年5月。それから40年が経ち、コンビニはいまや私たちの生活の一部となりました。2013年末現在の店舗数は5万店近くに達しています(日本フランチャイズチェーン協会 コンビニエンスストア統計調査)。いっとき出店競争が続き、市場は飽和状態に達したとも言われていましたが、ここにきて再び注目を集めています。

コンビニが息を吹き返したきっかけに、東日本大震災を機に地域の社会インフラとして見直されたことがあります。振り返ってみれば、コンビニは単にモノを並べて売るだけではなく、店内調理の暖かい食べ物を提供したり、公共料金の支払いや、宅配便の受付、チケット販売などのサービスを展開したり。私たちの生活に密着したニーズを次々に取り込んで発展してきたといえます。そして、そのコンビニが、次のターゲットとしているのが“シニアマーケット”です。

セブンイレブンの年齢別客数の割合を見ると、1990年代までは20歳代以下の若者中心だったものが、2011年には50歳以上が3割を占めるに至っています。セブンイレブンの企業紹介資料を見ると、この来店客データに、50歳以上が44%という「日本の年齢別人口構成比」が並べて書かれており、人口構成から考えればまだまだポテンシャルはある、という企業としての想いが伝わってきます。

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資料:セブン&アイホールディングス コーポレートアウトライン2012

では、シニアはどのようにコンビニを利用しているのでしょうか。シニアコムが行った調査によると、「コンビニを週1回以上利用する」人の割合は、男性では49%と約半数、女性でも36%に上っているものの、1か月あたりの利用料金は男女とも3000円以下が8割超と、あくまでも補完的に、ちょっとした買い足しなどに利用されているという状況が伺えます。ちなみに、コンビニで購入する商品は、「調理食品」「飲料」「一般食品」など。コンビニを選ぶ理由は「お店への近さ」がダントツです。(「シニアの買い物実態に関する調査」 シニアコム2013年3月)

近くて便利なコンビニを、シニアにもっと使ってもらおう、もっと買い物としてもらおうと、コンビニ大手各社はシニア向けの商品の充実を図っています。と同時に、高齢化社会の様々なニーズを捉えるべく、独自のサービスや店舗戦略を展開しています。セブンイレブンはお弁当などを届ける「セブンミール」や、小型電気自動車での商品の配達サービスなど、店舗をベースとして自分たちから顧客の元に出向く、商品を届けることを強化しようとしています。一方ローソンは、健康志向のナチュラルローソンの出店を強化したり、新たに小型スーパーの展開を始めるなど、様々なニーズを持つ顧客に、店舗に足を運んでもらおうとしているようです。ファミリーマートは、宅食サービス会社と提携して商品の配達に高齢者の見守り・安否確認を行ったり、ドラッグストアと提携してドラッグとコンビニの併設店舗展開を行っています。さらに、ドラッグストア業界2位のサンドラッグが、ドラッグストア経営で培ったノウハウを活かし、昨年独自にコンビニエンスストア事業に参入したことも注目されています。
 
高齢化社会が進展いくにつれ、コンビニエンスストアもますます進化し、また新たな社会インフラ機能を備えていきそうな気配です。