シニアのインターネット消費は「旅行」
インターネットを活用し、そこで多くの金額を消費しているシニア層。
デジタルデバイドの問題はさておき、シニア層のネット消費の内情をもう少し詳しく見てみましょう。
日本経済新聞社の「ネットライフ1万人調査」では、
シニア層が最近1年間にネットで消費した金額は23万1800円で、全体平均を1万6200円上回っていました。
ひと月あたり約2万円。そんなにネット通販にハマっているのだろうか…と思いきや、実はこの消費額を押し上げているのは、「旅行」のようです。
航空券や宿泊料など「旅行関連」の消費額は、60歳以上が突出しており、20万8800円と全体平均より5万円近く多かったそうです。
ホテル・旅館の宿泊料でも航空券でも、単価が食料品などとは比べものになりません。
旅行をネットで予約・購入していると考えれば、ネットでの消費金額がかさむのも納得がいくというものでしょう。
旅行の予約というのは、以前はパンフレットをうず高く積んでツアーを見比べたり、旅行会社の店頭で色々相談したりして行うものでした。
それが、ネット上ですべて済んでしまうようになったのは、いつごろからだったでしょうか。
日本旅行業協会が、今年の4月にまとめた『旅行業界の現状と課題』という資料で、
「旅行会社利用率及びインターネット予約の推移」として、5年前との比較をしているデータがありました。
資料:日本旅行業協会「旅行業界の現状と課題」2013/4/15
2007年には、宿泊施設および旅行会社のWebサイトを通して国内観光旅行を予約したという人は29.7%(宿泊施設のWebサイト=10.0%+旅行会社のWebサイト=19.7%)だったのに対し、2012年には57.6%(宿泊施設のWebサイト=16.5%+旅行会社のWebサイト=45.1%)と大幅に伸びています。今や、旅行会社のウェブサイトが、一番の予約手段というわけです。
ちなみに、海外観光旅行については、言葉の問題もありますので旅行会社の利用が主流なのですが、
2007年には「旅行会社の店頭・電話」による予約が55.6%だったのが、2012年には35.8%と大幅に落ち込み、
「旅行会社のWebサイト」による予約が56.6%と半数を大きく超えるまでになりました。
このデータはシニアに限ったものではありませんが、まずパンフレット集めではなくWebサイトの検索、
というのが、最近の旅行選びの主流となっていることは確かのようです。
以前、シニア層の利用が多い旅行会社の方の話を伺ったことがあるのですが、
そこでの調査によるとシニアが“信用できる情報源”とするのは①新聞②テレビ③ラジオ。
どんな情報に対しても疑い深い傾向がある一方で、信用できる情報に対する欲求が高いということで、
そこの会社では、新聞に同じツアーの広告を繰り返し出して訴求し信頼感を醸成することを重視しているということでした。
確かに、新聞にツアー広告が掲載されていない日はないといってもいいぐらいです。
ただ、今後はシニアといえども旅行はネットで予約、という人々が増えてくることは確実でしょう。
「ネットライフ調査」の結果を受けた記事によると、楽天トラベルの今夏の60代以上の予約実績は前年同期の3倍増だったそうで、
「ネットでの宿泊予約はシニア層にも完全に浸透してきた」というコメントが紹介されていました。(日本経済新聞 2013/10/23)