消費増税特需と4Kテレビ
ソニーの84型4Kテレビ「KD-84X9000」 – 2 posted by (C)kyu3
消費の拡大傾向を裏付けるデータがまたひとつ発表されました。9月の薄型テレビの出荷台数が、26ヶ月ぶりに前年同月比でプラスに転じたとのこと。今年の夏から本格的に投入された高画質の4Kテレビが市場を牽引し、さらに、来年4月に予定されている消費税増税を前に住宅購入需要が高まっており、それに伴ってテレビなどの家電製品も購入されていること、などが要因としてあげられています。
薄型テレビの出荷のピークは、地上デジタルテレビ放送に移行する直前の2011年6月。地上デジタル放送になると、それまでのテレビ受信機では放送が見られなくなるということで、私たち消費者は、極端なことを言えば、テレビを買い替えるか、テレビを見ることを止めるかという選択を迫られました。(実際には、ケーブルテレビ経由などで地デジ非対応のテレビ受信機でも視聴が可能だった地域もありますが。)皆さんの中にも、地デジ対応を迫られてテレビを新しくした、という方も多いのではないでしょうか。
地デジ移行を控えた2010年の薄型テレビの年間出荷台数は2519.3万台でした。この数字は、単純計算で考えると、日本の全世帯のうち約半数の世帯分ということになります。2009年から2011年までの3年間の合計出荷台数は、4964.8万台。ほぼ、「一家に一台」分、という驚異的な数字です。これだけこの時期に集中してテレビが売れてしまえば、その後数年間テレビが売れないであろうということは、想像に難くありません。年間では2010年、月間では2011年6月をピークに、薄型テレビの出荷台数は激減し、シャープが経営危機に陥るなど、家電メーカーの業績悪化にもつながりました。
消費者の立場からすれば、テレビはそうそう壊れるものではありませんし、最前線の流行を追うファッショングッズでもありません。携帯電話のように割引特典が更新される2年単位で買い替えを考えるということにもなりません。簡単に買えるほど安いものではありませんので、よほど魅力的で使ってみたい・見てみたいと思う機能や性能が出てきたり、引っ越しでサイズが合わなくなるとか家電製品も一新するという機会でもない限り、ほんの数年前に買ったテレビを新しくしよう、とは思わないのが普通ではないでしょうか。
液晶テレビの寿命は7-8年程度と言われていますので、地デジ対応で「一家に一台」購入されたテレビの本格的な買い替え期は2015年以降ということになります。それを少しでも前倒ししようと、3Dテレビやインターネット対応など各メーカーは躍起になって製品開発をしてきましたが、景気の低迷も相まって、なかなか需要には結びつかなかった。そこに、大画面で高画質が楽しめるという4Kテレビが登場し、消費マインドが改善しつつある人々の心をつかみつつある。そして、これからやってくるのは消費税増税という「特需」。増税前の住宅購入のピークは過ぎたとみられますが、テレビなどの耐久消費財の駆け込み需要は年末から年明けにかけてが本番です。
さて、皆さんは増税前に、大画面で高精細画質が楽しめるという4Kテレビに買い替えますか?ここで買い替えないとすると、次の買い替えのきっかけは2020年の東京オリンピック…?
(出荷台数データはすべて電子情報技術産業協会 民生用電子機器国内出荷実績による)