スポーツがシニアに与える「体の健康」と「心の健康」
スポーツの秋です。みなさん、普段から体を動かしていますか?体力には自信がありますか?
シニア層が元気だ、と言われる昨今ですが、その実態はどうなっているのでしょう。
文部科学省が3年に1度程度実施している『体力・スポーツに関する世論調査』の最新(平成25年1月調査)の調査結果を見ると、
“体力に自信がある”(自信がある、どちらかと言えば自信がある、の合計)という人の割合は、平均で61.8%ですが、
60-69歳では66.6%。平均を5ポイント近くも上回っています。
特に、男性の60-69歳では7割以上(70.5%)の人が、“体力に自信がある”と回答しており、他の年代(20歳代を除く)を凌いでいます。
しかも、前回(平成21年9月実施)の調査では61.7%でしたので、“体力に自信のある60歳代”が増えていることがうかがえます。
ちなみに、女性は男性と比べて全体的に“体力に自信がある”という人の割合は少ないのですが、
60-69歳は62.4%で全年代のトップ。そして、前回調査からはやはり5ポイント近く増加しています。
この調査によると、実際にこの1年間に行った運動やスポーツの上位は;
<男性60歳代> ① ウォーキング(54.9%) ② 体操(25.1%) ③ ゴルフ(19.2%)
<女性60歳代> ① ウォーキング(61.0%) ② 体操(37.6%) ③ 室内運動器具を使ってする運動(10.3%)
となっています。ランニングや登山を行ったという人の割合も、男性では1割前後に達していますが、
どちらかといえば本格的なスポーツというよりは、手軽に体を動かしているというのが現実のようです。
しかし、シニアでもアスリート・スポーツ選手としてトレーニングをし、記録に挑戦している人々もいます。
今月初め、国際ゴールドマスターズ大会が京都で開催されました。
いくつかのテレビ番組で紹介されましたので、ご覧になった方もいらっしゃることと思います。
日本・アジアを中心に世界中から集まった45歳以上、上は100歳を超えるシニア選手たちが、
陸上のトラック競技や高跳びや幅跳びなどのフィールド競技で世界記録をかけてしのぎを削ったそうです。
今年90歳で100メートルの世界新記録を樹立した女性に密着していた番組を見ましたが、
その食生活やトレーニングの様子は、一般の競技選手と見紛うほどで、90歳という年齢を全く感じさせないものでした。
実は、このマスターズ陸上競技の世界記録保持者には日本人が多いのだそうです。
そして、若い頃に陸上をやっていたという人たちばかりではなく、高齢になってから競技を始めた人も多いとか。
先の90歳で世界記録を樹立した女性が陸上競技を始めたのは69歳のとき。
男性100歳以上100メートルの世界記録保持者の方が競技を始めたのは、なんと92歳になってからだそうです。
誰もが真似できるとは思えませんが、なんとも勇気をもらえる話です。
最後に、このマスターズ大会を取り上げた番組で解説をしていた、名古屋学芸大学大学院 下方浩史教授のコメントをご紹介しましょう。
「年を取っても、自分の夢だとか目標を持って、それを目指して最大限の努力をするということが、必要です。
(中略)年を取っても体力は落ちるけれども、それなりに自分のベストを尽くすと。
そのことが大事であって、そうすることによって、年を取っても輝いた人生を送ることができるんです。」
「老後を健康で元気に過ごすためには、やはり、中年の頃からの「種まき」が必要です。
つまり運動習慣など、生活習慣の改善だとか、あるいは体力作りを中年の頃からやっていれば、
年を取ってからでもその維持が比較的容易にできます。」
(NHKクローズアップ現代「人生後半こそ輝け“スーパー高齢者”の競技会」より)