-第2回- 仕事はどこにあるのか

tsutsumikanban

仕事を探すのは、結婚と似ている。就活も婚活と同じで、出来るだけ多くの人に出会うことが大切で、気持ちが通じる相手を見つけることが幸せの源である。
しかし、世界中の人と見合いが出来ないと同じく、全ての仕事の内容を調べることはできない。
どこに仕事があるのか、と言われると、案外どうしたらよいかが分からず、現実には、偶然の出会いの中から、それぞれの状況に応じた「妥協と決断」があって、仕事に就くことになる。

このコラムの対象としているプレシニアの皆さんは、この最初の決断が結果として壊れそうになっているか、または壊れてしまっている。
そこで、改めて次の探索に向かおうとしているのであるとすれば、
せっかく「新たなチャンス」を摑む機会をみすみす見逃したとしないよう新たに仕事を見つける真剣な努力が必要である。
出来るだけみじめな誤解に終わらないように、合理的な仕事の探し方を考えてみよう。

先ず、どんな仕事があるかの自分のイメージの中から、「こんな働き方をしたい」ということを、はっきりしておくことが必要である。
皆さんはこれまで少なくとも10年、多い方で30年の仕事経験をしている。
世の中にある職業・業種の分類や仕事(職務)の種類についても一応は判っていると思う。
その自分のイメージの中から、「これから65歳を超えて出来るだけ長く働くとしたら、どんな人になっていればよいのか」という希望像を、考えていただければよいのである。

そこで、これから以下の「3つのステップ」で、少しづつこれからの継続した生き方、働き方のことを考え、目標を探していただくと
「仕事がどこにあるか」が見えてくる。

①大ぐくりでいいので、まず「仕事の種類」を決めること。
②次に、なぜその仕事なのかについて「自分自身の内省」を深め、固める。
③ 最後に信頼できるプロに方策を相談する。

まず①の大ぐくりの仕方について、私の考える「仕事の種類」を示すと、以下、A、B、Cとなる。

A, 会社の中でより大きな権限を持って、その力で自分が人を統率し仕事の結果を出す。
B, 何か特別の分野の経験や、技術、専門知識を深めて、人から認められる仕事をする。
C, 自分の固有の力でなくてもいいが、人を助け、仕事が円滑に進む環境で安定したい。

次に②、それではなぜAなのか。
これまでの人生の経過を振り返ってみて、どのような生き方、働き方をしてきたか、どんな時に「本当のやりがい」を感じたのかを考えたり、
紙に仕事の歴史やその時の仕事の環境、などを書いたり、なぜAなのか、やはりAだなあ、と思えればいいわけで、B,Cについても同じである。
ある程度の時間をかけ、場合によっては上司や友人に、意見を求めることができれば、よりはっきりしたものになるだろう。

そして、③この結果を職業カウンセリング(コンサルティング)のプロに相談すること。
人材紹介業やキャリア・コンサルタントを名乗っている人に、これまでの振り返り資料を持って今後の方策を相談することである。
注意しなければいけないのは、資格があるからといっても、経験領域が違ったり、人を見る目、経験量の危ない人もいるので、
お客さんの方が、プロを選ぶ眼を持つ必要があることである。

現在、いい仕事に巡り合うのはとても難しいとつくづく思う。
この日本において、世界の環境の激変や技術革新への対応、少子高齢社会をどうとらえるか、各企業は懸命の努力をしている。
経営のパラダイムが転換しようとしているし、事業内容が新しく創造されるかもしれない。
しかし、生き方、働き方の姿勢、根源にある人間固有の能力は変わるものではない。
ここで、自分の生き方、働き方を見直し、考えた結果を「生き方の専門家」に相談することから、各人に、具体的な仕事の方向が出てくると思う。