どうする?どうしたい?子との同居
先日、首都圏で子どもと別居している60-70代の父親・母親で同居を望んでいない人の78%が「自分に介護が必要になっても子と同居は嫌」と考えている、という調査データが発表されていました(アットホーム「親子の同居に対する本音調査」2013年11月調査)。
「実の子との同居について考えたことがある」人の割合は3分の一程度(33.7%)、「いつかは実の子と同居したい」と考えている人も4人にひとり(23.7%)に留まっており、自立したシニアの姿がうかがえます。現在子どもと同居していないということは、健康状態も良好で生活の不安もないということでしょうから、まだまだ夫婦(もしくはひとり)でも大丈夫、子どもに面倒を見てもらうまでもないと考えているということでしょうか。また、自分の老後に関して子どもに余計な負担をかけたくない、と考えるシニアが増えていると言われていますが、この調査結果からもその傾向がうかがえます。
この調査は子ども側(結婚して親と別居している30-40代の長男長女)にも同様の質問をしているのですが、「実の親との同居について考えたことがある」のは37.3%に対し、実際に「実の親と同居したい」と考えている人は21.7%。特に長男では、45%を超える人が「考えたことがある」のに、「同居したい」のは21.3%と、大きな開きがあります。長男としての責任感から親の老後を心配し同居を考えつつも、現実的にはハードルが高く、ということでしょうか。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、65歳以上の人がいる世帯のうち「三世代世帯」の割合は15.3%です。ここには、シニアから見て子どもと孫と同居という以外に、自分たちの親と子ども同居というパターンも含まれますので、それを差し引いて考えると、子どもと孫と同居しているシニアは10%強という程度、と言えそうです。この調査では、シニア+子ども夫婦というパターンは捉えられないのですが、それを考え合わせても、実際に子どもと同居しているシニアは、全国的に見るとせいぜい2-3割というところかもしれません。
ちなみに、65歳以上の人がいる世帯のうち、最も多いのは夫婦のみの世帯(30.3%)。まだ結婚していない子どもと同居している世帯も19.6%に達しますが、既に単身になっている世帯も23.3%に上っています。
世帯ではなく個人単位で見ると、日本の65歳以上のシニアのうち一人暮らしをしている人の割合は16.4%です(2010年 総務省国勢調査より)。1995年の12.1%から一貫して上昇傾向にあり、今後も少子高齢化に伴いこの割合はさらに増加していくことでしょう。また、老人ホーム等の“社会施設の入所者”は、割合としては4.1%と少ないものの、その人数は1995年の1.5倍に達しています。
今後ますますシニア人口が増えていく中で、どこで、誰と暮らしていくのかという問題は、シニアにとっても、その子どもたちにとっても大きな問題になっていくことと思われます。