心身を活き活きさせるために

hiramatsu016

トレーニングジムに通う高齢者が増えている。私が通うトレーニングジムでは男女とも60~70歳代が多い。身体機能の維持を心掛ける高齢者が増えているようだ。
私もウォーキング、軽登山、筋トレ、合気道と、加齢とともに運動を増やして来た。筋トレはこの6年間熱心に続けている。最大負荷に近い負荷を掛けてそれぞれのマシーンを10回以上2セットやることにしているが、筋肉がつき体型が固締りになることを実感している。
一般に、筋力は高齢になっても余り落ちない、敏捷性・瞬発力・筋持久力が失われて行くとされているので、その点とも矛盾しないように思える。

合気道は昨年始め1年半になる。当初は稽古の翌日・翌々日は体の節々が痛かったが、今はそういうことも無い。合気道は西洋のスポーツとは体の使い方・動かし方が異なる。西洋のスポーツはいずれも年齢とともにパーフォーマンスが落ちて行くが、合気道では高齢で素晴らしい動きと切れ味鋭い技を繰り出す達人が何人もいて驚かされる。年齢に拘わらず身体能力が衰えない事実を目撃し不思議の念に打たれる。
初心者の私にその秘密は解らないが、職人の仕事振りが年季の積み重ねで見事になって行くような、何かそれに似通った奥深いものがあるようで、この先も続けて行くことが楽しみである。

筋トレも合気道も終えた後の気分が爽やかである。始める前には鬱々としている場合もあるが、終わると精神が軽く高揚している。
身体の活性化が脳や心の活性化に影響するようだ。

逆に、脳と心の活性化が健康や体調に影響するとよく言われる。
東京大学高齢社会総合研究機構の「2030年超高齢未来」という本の中で、三菱総合研究所の小宮山宏理事長(元東京大学総長)が面白い例示を挙げている。
徳島県上勝町(かみかつちょう)のお年寄りは「つまの葉っぱ事業」に精を出しお金儲けしてから、すこぶる健康が増進しているというのだ。
徳島県の山間の上勝町は人口1600人余の小さな過疎の町である。以前は林業とみかんを生活の糧にしていたがその2つともがダメになったので、料亭の料理の飾りとなる緑の葉や小枝などを採取して料亭に納めるビジネスを思い付き、これが大ヒットして有名になった。「つまの葉っぱ事業」では、町のお年寄りが端末を操作して注文に応じた葉っぱの採取・発送を行っており、年収1000万円を超える人もいる。子供や孫に車を買い与えたお年寄りも出ている。
町おこしのモデルにもなり、見学者・研修生を次々と町に受け入れては、お年寄りが説明・指導に当たっている。
小宮山理事長は、上勝町のお年寄りの医療費が徳島県のどの町よりも低減している点を指摘し、やる気・励み・生き甲斐が心身に及ぼす影響に注目している。
人間は確かにそういう生きものに相違ない。

運動は身体能力維持に必要だ。しかし運動だけで心身を本当に活き活きさせることはできない。必ずしも仕事とは限らないが、何かやり甲斐になること、生き甲斐になることに取組むことが必要に思える。