能力・成果に応じて昇給も…小糸製作所、定年65歳に引き上げ

小糸製作所は2025年4月以降、定年年齢を現行の60歳から65歳まで段階的に引き上げる。併せて定年後の再雇用制度を70歳まで働けるように改定する。独自のシニア資格を新設。60歳以降も全員が正社員のままシニア資格に移行でき、能力や成果に応じて昇給も可能だ。
(中略)
定年直前に管理職だった社員については、役職を継続する「シニアプロフェッショナル」と、役職を継続しない「シニアアドバイザー」のどちらかに移行。社員本人の希望を踏まえた上で役員会で決議する。非管理職の社員は「シニアエキスパート」に移行する。
(ニュースイッチ 9月7日)

定年を60歳から延長する場合、延長する期間の処遇を60歳までと同じにするかどうかで企業の判断が分かれる。60歳未満と60歳以上で全く処遇の差を付けない企業もあるが、小糸製作所は、60歳以降は「全員が正社員のままシニア資格に移行」することとして、60歳の前後で処遇の差を付けることを選択した。
年齢に関わらず、能力と成果によって処遇を決めるという原則が正しいとすれば、60歳という年齢を境に一律に処遇が変わるのは不合理だ。しかし、現行の60歳定年後は一律に再雇用としていた制度に比べるとその差は小さい。処遇の決定に関して年齢の要素を残しながらも、その影響の度合いをより小さくしたのが、今回の小糸製作所の人事制度改革だ。こうした制度変更を繰り返しながら、次第に、日本企業の人事制度は年齢に関係ない制度へと変わっていくのだろう。