老老介護-介護者の現状とは-
介護を必要としながら自宅で暮らしている65歳以上の高齢者のうち、65歳以上の同居の家族が介護を担っているという、いわゆる“老老介護”の割合が2013年時点で5割を超えたことが、厚生労働省が7月に発表した「国民生活基礎調査」で明らかになりました。
増え続ける老老介護の割合
介護保険制度により要介護および要支援の認定を受けて自宅で暮らす人を対象に行った調査で、老老介護の割合が5割を超えたのは2001年の調査開始以来初めてとのこと。世の中全体の高齢化が進んでいるので、老老介護の割合が増えていくのは当然といえば当然ですが、2004年調査と比べても10%の増加。さらに、介護するほうもされるほうも75歳以上という割合も、2004年には19.6%だったものが、2013年は29%にまで増加しています。
介護保険を利用すると各種のサポートを受けることができますが、調査を行った1か月間に介護サービスを利用した世帯の割合は約8割。世帯構造別に見ると、単独世帯では84%が介護サービスを利用しているのに比べ、夫婦のみの世帯では4分の1の世帯が介護サービスを利用していません。ひとり暮らしであれば生活をしていくのに他人の手を借りるのは致し方ないが、家族で面倒を見ることができる人がいれば、できる限りそれで済ませるという考え方が、まだまだ根強いことがうかがえそうなデータです。ちなみに、主要な介護サービスを利用していない理由のトップは、「家族介護でなんとかやっていける」で4割を超えています。
厳しい介護者の現状
しかし、同居の介護者のうち、7割近くが悩みやストレスを抱えています。悩みやストレスの原因は、「家族の病気や介護」という介護そのものに関することが7割を超えて最も多いのですが、「自分の病気や介護」を心配している人も3割近くいます。老老介護であればお互いに年齢を重ねるほど、介護者が健康を害したり体調を崩したりする危険性は高くなり、不安は増していくことと思われます。さらに「収入・家計」などの生活面や、人間関係、さらには自分の時間や生きがいをあげている人もいます。
調査では、要介護度別に介護者の介護時間も聞いていますが、要介護1(日常生活に部分的な介助が必要な状態)でも半日以上の時間を介護にとられるという人が2割を超えていますし、要介護3(一人で立ち上がったり歩いたりできず、排泄や入浴、着替えなど日常生活全般に介助が必要な状態)となると、半数を超える人が半日以上を介護に費やしているとのこと。健康な配偶者や、子供や子供の配偶者といった若い世代が介護を担っていく場合には、自分や家族だけで介護を抱え込まずに、適切に公的サービスを利用していくように促すことや、介護者自身の生活や生きがいの確保に注力を払っていくことも重要になってくると思われます。
ちなみに、介護が必要となった主な要因は「脳血管疾患(脳卒中)」「認知症」「高齢による衰弱」など。まずは私たちひとりひとりが、生活習慣を整え、健康に気を配って生活を送り、脳血管疾患や認知症のリスクを少しでも減らすことから考えていくべきなのかもしれませんね。