59.32%と戦後最低の前衆院選投票率-関心低い若者世代-

衆院選投票率

衆議院議員選挙が行われることになりました。突然の解散、それでなくても慌ただしい師走。前回2012年12月の選挙の投票率は59.32%と戦後最低だったのですが、今回は果たしてどのくらいとなるのでしょうか。

平均を2割下回る若者の低い投票率

投票率といって特に話題になるのは、若者の投票率の低さです。20歳代の投票率は、前回衆院選で37.89%と全体の59.32%を大きく下回っているだけではなく、1967年の66.69%をピークに低下傾向が続いています。暇がない、関心がない、投票したからといった何も変わらない、等々若者世代にも言い分はあることと思いますが、今回は若者と選挙について考えてみましょう。

前回選挙の有権者数、投票者数、当選者数を年代別にグラフにしてみました。有権者数の割合と比べると、投票者数の割合では20歳代・30歳代が少ない一方で60歳代・70歳以上が多く、選挙結果にはシニア層の意向がより強く反映されることが伺えます。また、当選者を見ると、有権者数はもちろん、投票者数と比べても20歳代30歳代が極端に少ないことがわかります。

衆院選挙各種年齢構成

資料:明るい選挙推進協会

実は、20歳代30歳代は、立候補者数自体がそもそもあまり多くありません。今回の選挙でも、20歳代の立候補者は全体の1.8%、30歳代でも13.9%とのこと(時事ドットコム 2014/12/2)。政治家にはある程度の社会経験が必要とされますし、若ければ良いというわけではありませんが、自分たちの問題意識をわかってくれそうな候補者がいない、投票したい人がいないと、若者が訴えるのもわからなくはない気もします。

ちなみに、今回の立候補者の平均年齢は52.2歳で、前回より1.8歳高くなっています。そもそもの人口構成の高齢化が進んでいるのですから、立候補者の年齢が高くなっても不思議ではありません。しかし、だからといって、若者が選挙に関心を持たない、投票に行かないとどのようなことになるのか。

若者は投票しないことで損をする!?

先日「20~49歳の投票率が1%低下すれば、若者世代が一人当たり年約13万5千円の損失を被る」という試算が新聞記事に紹介されていました(日本経済新聞2014/11/26)。東北大学吉田博教授の試算で、過去の国政選挙での世代別投票率と、国内総生産、国債の新規発行額、社会保障などを分析すると、20-49歳の層の投票率が1%低下すると、この層が将来負担となる国債がひとりあたり年間7万5300円発行され、社会保障給付額の20-49歳と50歳以上の差は5万9800円拡大することとなり、合計で年間13万5千円あまり経済的なポジションが不利になる、のだそうです。

「若者世代はこのような政治不参加のコストを認識して、世代の声が国の政策に反映されるように投票に参加する行動を起こすことが期待される」と吉田教授は論文に書いていますが、毎月1万円以上の損失につながりかねないと言われれば、若者世代の受け止め方、考え方も少しは変わるのではないでしょうか。タレントを使ったりして投票を促そうとするより、無関心でいることが自分たちの将来に直接マイナスになるという、このような試算を示した方が、インパクトが大きいような気もします。

翻ってシニア世代。「最近の若いものは選挙にも行かないで…」と批判したり、自分たちの目先の関心事で候補者を選ぶのではなく、候補者が子供や孫の世代のことまでどのように考えているのかという意識を持って見極めることが重要になってくるのかもしれませんね。